学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ25P090

理由で解く 柔道整復師

QJ25P090 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問90
問題
外傷性膝関節脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 後方脱臼が最も多く発生する。
2 ダッシュボード損傷で前方脱臼が発生する。
3 膝側副靱帯損傷を合併することはない。
4 足背動脈の拍動の消失・減弱に注意する。
解答
正解4(足背動脈の拍動の消失・減弱に注意する。)
解説

膝関節脱臼は膝窩動脈損傷を合併しうる緊急性の高い外傷。末梢動脈(足背動脈・後脛骨動脈)の拍動確認が最重要で、4が正しい。

大腿骨と脛骨が完全に外れるには、十字靱帯を含む複数の靱帯が同時に断裂する必要があり、膝関節脱臼は高エネルギー外傷で生じる。膝窩では膝窩動脈が骨に近接して走り、上下を分枝で係留されているため、脱臼による牽引や圧迫で内膜損傷・断裂を受けやすい。血行障害の見逃しは下肢切断につながるため、来所時と整復後の両方で足背動脈・後脛骨動脈の拍動、皮膚色・皮膚温、感覚(総腓骨神経麻痺による下垂足の有無)を必ず確認し、異常があれば直ちに医療機関へ搬送する。方向別では膝の過伸展強制による前方脱臼が最も多い。

✓ 4. 正しい
足背動脈の拍動の消失・減弱に注意する。
膝窩動脈損傷の合併が本症の最大の問題点であり、その簡便な指標が末梢動脈の拍動である。拍動が触れない、左右差がある、皮膚が蒼白・冷たいといった所見があれば血行再建を要する可能性が高く、緊急対応となる。整復後にあらためて確認することも忘れない。
✗ 1. 誤り
後方脱臼が最も多く発生する。
最も多いのは前方脱臼である。膝を強く過伸展させる外力で後方の関節包と十字靱帯が破綻し、脛骨が大腿骨に対して前方へ移動する。頻度の順を問われたら「前方が最多」と押さえる。
✗ 2. 誤り
ダッシュボード損傷で前方脱臼が発生する。
ダッシュボード損傷は、膝屈曲位で脛骨粗面部に前方から後方へ外力が加わる受傷機転である。脛骨が後方へ押し込まれるため、生じるのは後方脱臼(および後十字靱帯損傷)である。外力の向きと転位の向きは一致すると考えるとよい。
✗ 3. 誤り
膝側副靱帯損傷を合併することはない。
完全脱臼が成立する時点で、十字靱帯に加えて側副靱帯も広範に断裂しているのが通常である。むしろ靱帯損傷の合併は必発に近く、整復後も高度な不安定性が残るため、装具などで固定したうえで靱帯再建を含めた治療方針の検討につなぐ。
ポイント
  • 膝関節脱臼で最優先の確認は膝窩動脈損傷。足背動脈・後脛骨動脈の拍動を整復前後で必ず触知する。
  • 方向別では前方脱臼が最多(膝の過伸展強制)。
  • ダッシュボード損傷(脛骨粗面への後方向き外力)では後方脱臼。
  • 十字靱帯・側副靱帯の広範な断裂を伴うのが通常で、整復後も不安定性が残る。
  • 総腓骨神経麻痺(下垂足・下腿外側~足背の感覚障害)の合併も確認する。
比較表
脱臼の方向受傷機転主な合併損傷
前方脱臼(最多)膝の過伸展強制後十字靱帯断裂、膝窩動脈の牽引損傷
後方脱臼屈曲位の脛骨粗面部への前方からの直達外力(ダッシュボード損傷)後十字靱帯断裂、膝窩動脈の直接損傷
側方・回旋脱臼強い内・外反や回旋の強制側副靱帯断裂、総腓骨神経麻痺
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。