学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ25P089

理由で解く 柔道整復師

QJ25P089 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問89
問題
股関節脱臼で誤っているのはどれか。
選択肢
1 介達外力により発生することが多い。
2 後方脱臼が大半を占める。
3 大腿骨頭靱帯の断裂がみられる。
4 寛骨臼縁の骨折を伴うものを中心性脱臼という。
解答
正解4(寛骨臼縁の骨折を伴うものを中心性脱臼という。)
解説

中心性脱臼は寛骨臼の「底(臼底)」が破れて骨頭が骨盤腔側へ入り込むものを指す。臼「縁」の骨折を伴うものとする4が、設問の条件(誤っているもの)に当てはまる。

股関節は臼が深く、関節包と靱帯(腸骨大腿靱帯など)も強靱なため、脱臼するには大きな介達外力が必要である。典型は膝を屈曲した坐位で大腿長軸方向に外力が加わる受傷機転(ダッシュボード損傷など)で、方向別では後方脱臼が大多数を占める。同じ長軸方向の外力でも、股関節が外転位にあると力が臼底に集中して臼底が骨折し、骨頭が骨盤腔内へ突出する。これが中心性脱臼である。一方、寛骨臼の後縁(後壁)の骨折は後方脱臼に合併する脱臼骨折で、整復後も再脱臼しやすいため、整復後は牽引や安静で関節を安定させながら画像評価につなぐ。

✓ 4. 誤っている(これが答え)
寛骨臼縁の骨折を伴うものを中心性脱臼という。
中心性脱臼と呼ばれるのは、寛骨臼底が骨折して大腿骨頭が骨盤腔内へめり込んだ状態である。寛骨臼縁(後縁)の骨折を伴うものは、後方脱臼に骨折を合併した脱臼骨折として扱われる。「縁」か「底」かで名称が変わるので、骨頭がどこへ動いたかで区別するとよい。
✗ 1. 正しい(答えではない)
介達外力により発生することが多い。
股関節は骨性の支持が強いため、直達外力で脱臼することはまれである。膝屈曲位で大腿長軸方向に加わる介達外力が主で、交通事故のダッシュボード損傷が代表例。この記述は正しい。
✗ 2. 正しい(答えではない)
後方脱臼が大半を占める。
股関節脱臼のおよそ8~9割が後方脱臼で、骨頭の位置により腸骨脱臼と坐骨脱臼に分けられる。患肢は屈曲・内転・内旋位で弾発性固定を示し、健側より短縮する。この記述は正しい。
✗ 3. 正しい(答えではない)
大腿骨頭靱帯の断裂がみられる。
大腿骨頭靱帯は寛骨臼窩と大腿骨頭窩を結ぶため、骨頭が臼から外れる際に断裂する。この靱帯は骨頭への血行の一部を担っており、脱臼では骨頭壊死のリスクが高まる。整復の遅れが予後に直結するため、早期整復と早期の医療機関受診が重要という点まで押さえたい。
ポイント
  • 中心性脱臼=寛骨臼底の骨折を伴い、骨頭が骨盤腔内へ突出したもの。
  • 寛骨臼縁(後縁)骨折を伴うものは後方脱臼に合併する脱臼骨折。
  • 股関節脱臼は介達外力が主で、後方脱臼が約8~9割。
  • 後方脱臼の肢位は屈曲・内転・内旋、患肢短縮、弾発性固定。
  • 大腿骨頭靱帯は断裂し、骨頭壊死のリスクがあるため早期整復が重要。
比較表
骨頭の位置患肢の肢位合併しやすい骨折
後方脱臼(腸骨・坐骨)寛骨臼の後方屈曲・内転・内旋、短縮寛骨臼後縁(後壁)骨折、坐骨神経損傷
前方脱臼(恥骨・閉鎖孔)寛骨臼の前方・下方外転・外旋(屈曲または伸展)大腿骨頭の陥凹骨折、大腿動静脈・大腿神経の圧迫
中心性脱臼骨盤腔内へ突出変形・短縮は軽度、弾発性固定は乏しい寛骨臼底の骨折
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