学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ25P088

理由で解く 柔道整復師

QJ25P088 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問88
問題
下肢骨折で正しい組合せはどれか。
選択肢
1 大腿骨大転子骨折 〜ーールドロフ症候
2 大腿骨内側側副靱帯付着部骨折-内反ストレステスト陽性
3 脛骨顆間隆起骨折-前方引き出しテスト陽性
4 中間楔状骨骨折-ナウマン症候
解答
正解3(脛骨顆間隆起骨折-前方引き出しテスト陽性)
解説

骨折部位と誘発される徴候・徒手検査を結ぶ問題。脛骨顆間隆起は前十字靱帯(ACL)の付着部なので、骨折すると前方引き出しテストが陽性になる。正答は3。

この形式は「その骨片に何が付いているか」を考えれば徴候が自動的に決まる。顆間隆起は脛骨関節面の中央に突出する部分で、その前方にACLが付着する。骨端線が閉じていない小児・若年者では、靱帯実質が切れる代わりに付着部が骨ごと剥がれる顆間隆起裂離骨折が起こりやすい。所見はACL損傷とほぼ同じで、関節血腫と前方不安定性を示し、前方引き出しテストやラックマンテストで確認する。整復位が得られないものは手術適応となるため、強い関節血腫があれば穿刺・画像評価のできる医療機関へつなぐ。

✓ 3. 正しい
脛骨顆間隆起骨折-前方引き出しテスト陽性
顆間隆起の骨片とともにACLの脛骨付着部が浮き上がるため、脛骨の前方移動を止める力が失われる。膝屈曲90度で下腿を前方に引くと過剰に動く(前方引き出しテスト陽性)。ACL実質断裂と同じ機序で説明できる組合せである。
✗ 1. 誤り
大腿骨大転子骨折 〜ーールドロフ症候
ルドロフ症候は小転子の裂離骨折でみられる所見で、小転子に付く腸腰筋の作用が失われるため、座位で股関節を屈曲して下肢を挙上できなくなる。大転子には中殿筋・小殿筋などの外転筋群が付着するので、骨折時は同部の圧痛・腫脹と股関節外転筋力の低下が前面に出る。
✗ 2. 誤り
大腿骨内側側副靱帯付着部骨折-内反ストレステスト陽性
内側側副靱帯は膝の外反(外反ストレス)を制動する靱帯なので、損傷すれば外反ストレステストが陽性となる。内反ストレステストが陽性になるのは外側(腓側)側副靱帯の損傷である。制動する方向とストレスをかける方向は一致すると覚えると取り違えない。
✗ 4. 誤り
中間楔状骨骨折-ナウマン症候
中間楔状骨は内側・外側の楔状骨と舟状骨・第2中足骨に囲まれて堅固に支えられており、単独骨折はまれである。ナウマン症候はこの骨の骨折に固有の徴候として結び付けられるものではなく、組合せとして成立しない。足根部の外傷では、まずリスフラン関節部の圧痛や足部の変形・腫脹を確認したい。
ポイント
  • 顆間隆起=ACL付着部。裂離すると前方引き出しテスト・ラックマンテストが陽性。
  • 顆間隆起裂離骨折は骨端線閉鎖前の小児・若年者に起こりやすいACL損傷の「骨性版」。
  • ルドロフ症候=小転子裂離骨折。腸腰筋が働かず座位での下肢挙上が不能。
  • 内側側副靱帯損傷は外反ストレスで陽性、外側側副靱帯損傷は内反ストレスで陽性。
  • 中間楔状骨は周囲に囲まれて安定しており、単独骨折はまれ。
比較表
骨折・損傷付着する組織特徴的な所見・検査
脛骨顆間隆起骨折前十字靱帯関節血腫、前方引き出しテスト・ラックマンテスト陽性
小転子裂離骨折腸腰筋ルドロフ症候(座位で下肢挙上不能)
大転子骨折中殿筋・小殿筋同部の圧痛・腫脹、股関節外転筋力低下
内側側副靱帯損傷外反ストレステスト陽性
外側側副靱帯損傷内反ストレステスト陽性
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