学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ25P071
理由で解く 柔道整復師
肘関節後方脱臼で断裂するのは関節包の前面です。肘伸展位で手をつくと肘に過伸展が強制され、テコの支点となる前方の支持組織(関節包前面・上腕筋)が引き伸ばされて断裂するため、「後面断裂」は組合せとして成立しません。
肘関節後方脱臼は、肘伸展位で手をついて過伸展が強制され、鉤状突起が上腕骨滑車を乗り越えて前腕が後上方へ転位するものです。このとき前方の関節包・上腕筋が引き伸ばされて断裂し、後面は前腕骨が突き破って出るのではなく押し広げられる形になります。つまり転位方向(後方)と損傷部位(前面)は一致しません。損傷組織は「どちらへ転位したか」ではなく、「その脱臼が起こる過程でどの組織が引き伸ばされ、支えとして破綻するか」という機序から考えます。肩関節前方脱臼では骨頭が前下方へ移動する過程で関節窩前下方の関節唇・関節包が剥離し(バンカート損傷)、肩鎖関節上方脱臼では上方への転位を直接止めている肩鎖靱帯が破綻し、MP関節背側脱臼では基節骨が背側へ転位する過程で掌側の掌側板が破綻します。方向が一致して見える脱臼もあれば、肘のように逆になる脱臼もあるため、方向の一般則で検算しようとせず、肩関節前方(烏口下)脱臼=関節窩前下方の関節唇剥離(バンカート損傷)/肘関節後方脱臼=過伸展で引き裂かれる関節包前面・上腕筋/肩鎖関節上方脱臼=上方転位を止める肩鎖靱帯/MP関節背側脱臼=掌側板、というように受傷機序と損傷部位をセットで覚えます。
| 脱臼 | 転位の方向 | 主に損傷される組織(破綻の機序) |
|---|---|---|
| 肩鎖関節上方脱臼 | 鎖骨遠位端が上方 | 肩鎖靱帯 →(進めば)烏口鎖骨靱帯:上方転位を止める支持機構が破綻 |
| 肩関節烏口下脱臼 | 骨頭が前下方 | 関節唇前下方(バンカート損傷)、骨頭後外側の陥凹 |
| 肘関節後方脱臼 | 前腕が後上方 | 関節包前面・上腕筋・内側側副靱帯:過伸展強制で前方の支持組織が引き伸ばされて断裂 |
| 示指MP関節背側脱臼 | 基節骨が背側 | 掌側板:中手骨側(近位)で破綻し、中手骨頭背側へ介在することがある |
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