学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ25P066

理由で解く 柔道整復師

QJ25P066 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問66
問題
タナ障害が発生しやすいのはどれか。
選択肢
1 膝蓋上滑膜ヒダ
2 膝蓋下滑膜ヒダ
3 膝蓋内側滑膜ヒダ
4 膝蓋外側滑膜ヒダ
解答
正解3(膝蓋内側滑膜ヒダ)
解説

タナ障害(滑膜ヒダ障害)が最も起こりやすいのは膝蓋内側滑膜ヒダである。膝の屈伸のたびに大腿骨内側顆と膝蓋骨内側縁の間に挟み込まれ、摩擦を受け続ける位置にあるからである。

滑膜ヒダは胎生期に膝関節腔を仕切っていた隔壁の遺残で、成人でも膝蓋上・膝蓋内側・膝蓋下(ムコ靱帯)などが残ることがある。このうち膝蓋内側滑膜ヒダは大腿骨内側顆の前面を縦に走り、膝屈伸で内側顆の上を乗り越えるように動く。反復する屈伸動作や膝前面の打撲で炎症を起こすとヒダが肥厚・線維化し、挟み込みが強くなって屈伸時のクリック音・引っかかり感・膝蓋骨内側縁の圧痛を生じる。棚(タナ)のように張り出す形からこの名がある。成長期のバレーボール・バスケットボール選手など、屈伸を繰り返す競技者に多い。

✓ 3. 正しい
膝蓋内側滑膜ヒダ
大腿骨内側顆と膝蓋骨内側縁という「硬い骨どうしのすき間」を毎回通過する位置にあるため、機械的刺激が集中して肥厚・嵌入を起こしやすい。タナ障害といえばこのヒダを指す。
✗ 1. 誤り
膝蓋上滑膜ヒダ
膝蓋上嚢と関節腔の境界に位置し、遺残頻度は高いが膝蓋骨と大腿骨顆部の間に挟まれる位置関係にない。単独で症状を出すことは少ない。
✗ 2. 誤り
膝蓋下滑膜ヒダ
いわゆるムコ靱帯で、顆間窩から膝蓋下脂肪体へ向かう。前十字靱帯に沿う深部にあり、屈伸で挟み込まれる構造ではないため、タナ障害の主役にはならない。
✗ 4. 誤り
膝蓋外側滑膜ヒダ
外側に相当するヒダは遺残そのものがまれで、臨床上問題となることはほとんどない。内側と外側を取り違えないことがこの問題の要点である。
ポイント
  • タナ障害=膝蓋内側滑膜ヒダが大腿骨内側顆と膝蓋骨の間に挟み込まれて起こる障害。
  • 症状は屈伸時のクリック音・引っかかり感・膝蓋骨内側縁の限局性圧痛。
  • 成長期のジャンプ・屈伸反復競技(バレーボール、バスケットボールなど)に好発。
  • 滑膜ヒダは胎生期の関節隔壁の遺残。膝蓋上・膝蓋内側・膝蓋下(ムコ靱帯)が代表で、外側はまれ。
  • 屈伸を繰り返す練習量の調整と大腿四頭筋・ハムストリングスの柔軟性改善を指導し、症状が続く場合は医師の診察につなぐ。
比較表
滑膜ヒダ位置タナ障害との関係
膝蓋上滑膜ヒダ膝蓋上嚢と関節腔の境遺残は多いが挟み込まれにくい
膝蓋内側滑膜ヒダ大腿骨内側顆前面〜膝蓋骨内側最も障害を起こす(本症の本体)
膝蓋下滑膜ヒダ(ムコ靱帯)顆間窩〜膝蓋下脂肪体深部にあり症状を出しにくい
外側のヒダ遺残自体がまれ
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