学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ25P097

理由で解く 柔道整復師

QJ25P097 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問97
問題
非外傷性腓骨筋腱脱臼で誤っているのはどれか。
選択肢
1 足関節の内返しで発生する。
2 長腓骨筋腱が外果の前方へ移動する。
3 上腓骨筋支帯の欠損がある。
4 腓骨筋腱溝の形成不全がある。
解答
正解1(足関節の内返しで発生する。)
解説

非外傷性(習慣性)腓骨筋腱脱臼は、上腓骨筋支帯の欠損・弛緩や腓骨筋腱溝の形成不全という素因を背景に、明らかな外傷なく腱が外果を乗り越えるものです。急性(外傷性)例の受傷肢位も足関節の背屈+外がえし強制であり、いずれにせよ内返しは主たる機序ではないため、選択肢1が誤りです。

長腓骨筋腱・短腓骨筋腱は外果後方の腓骨筋腱溝を通り、上腓骨筋支帯によって溝の中に押さえられています。この「溝の深さ」と「支帯の押さえ」のどちらかが弱いと、腱は外果を乗り越えて前外側へ滑り出ます。腓骨筋腱溝が浅い・平坦である、支帯が欠損している、といった解剖学的素因を持つ人では、明らかな外傷がなくても日常動作やスポーツ動作で脱臼を繰り返します(非外傷性・習慣性)。一方、急性例は足関節の背屈+外がえしが強制された際に腓骨筋群が急激(反射的)に収縮し、その張力で上腓骨筋支帯が破綻して起こります。内返し強制で第一に疑うのは前距腓靱帯を中心とする外側靱帯損傷であり、本症の主たる機序ではありません。反復する場合は支帯の修復・再建や腱溝形成術が検討されるため、整形外科での評価につなげます。

✓ 1. これが誤り(=答え)
足関節の内返しで発生する。
非外傷性では支帯の欠損・弛緩や腱溝の形成不全という素因が背景にあり、明らかな内返し外傷がなくても脱臼します。急性例の受傷機転も足関節の背屈+外がえし(回内)強制に対して腓骨筋群が急激(反射的)に収縮し、その張力で上腓骨筋支帯が破綻して腱が外果を乗り越えるというものです。内返し強制で第一に疑うのは前距腓靱帯を中心とした外側靱帯損傷であり、本症の主機序ではありません。
✗ 2. 正しい記述(=答えではない)
長腓骨筋腱が外果の前方へ移動する。
腱は本来外果の後方を走りますが、支帯の破綻や腱溝の浅さがあると外果を乗り越えて前外側へ移動します。外果の前外側で腱が索状に触れる、あるいは動作時に「ぽこっ」と乗り越える感触が確認できることがあり、記述は正しいものです。
✗ 3. 正しい記述(=答えではない)
上腓骨筋支帯の欠損がある。
上腓骨筋支帯は腱を腱溝内に留める最も重要な押さえです。この支帯の欠損や弛緩は非外傷性(習慣性)脱臼の代表的な素因であり、記述は正しいものです。
✗ 4. 正しい記述(=答えではない)
腓骨筋腱溝の形成不全がある。
腓骨筋腱溝が浅い、あるいは平坦・凸型であると腱が溝から逃げやすくなります。支帯の弱さと並ぶ骨性の素因であり、記述は正しいものです。素因があると軽微な動作でも再発するため、反復例では整形外科での評価と手術的治療の検討につなげます。
ポイント
  • 非外傷性(習慣性)=明らかな外傷機転を欠き、素因(上腓骨筋支帯の欠損・弛緩腓骨筋腱溝の形成不全)を背景に反復する。
  • 急性(外傷性)例の受傷機転は背屈+外がえし(回内)強制+腓骨筋群の急激(反射的)な収縮。腓骨筋群は外がえし・底屈の作用筋である点も押さえる。
  • いずれの型でも内返しは主機序ではない。内返し強制で第一に疑うのは外側靱帯(前距腓靱帯)損傷。
  • 腱は外果の後方 → 前外側へ乗り越える。外果前外側で索状に触知できることがある。
  • 反復例は素因が残るため保存療法だけでは治まりにくい。支帯の修復・再建や腱溝形成術の検討につなげる。
比較表
外傷性(急性)腓骨筋腱脱臼非外傷性(習慣性)腓骨筋腱脱臼(本問)
きっかけスキー・球技などでの背屈+外がえし強制明らかな外傷機転を欠く。軽微な動作、日常動作でも反復
背景支帯の急性断裂・剥離支帯の欠損/弛緩、腱溝の形成不全という素因
所見外果後方の腫脹・皮下出血、強い圧痛腫脹は乏しく、腱の乗り越えを自ら再現できることがある
対応まず保存療法(固定)を試みる素因が残るため手術的治療の検討につなげる
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