学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ25P098

理由で解く 柔道整復師

QJ25P098 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問98
問題
足関節内返し強制による前距腓靱帯損傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 疼痛や腫脹の程度と損傷程度は比例する。
2 足関節底屈位に比べ足関節直角位での内反強制で疼痛が増強する。
3 外果と第5中足骨基部を結ぶ線の中点から2横指前方に圧痛がみられる。
4 重症例では距骨の前方引き出し症状がみられる。
解答
正解4(重症例では距骨の前方引き出し症状がみられる。)
解説

前距腓靱帯の重症例(完全断裂)では距骨が前方へ引き出され、前方引き出し症状がみられる。正答は4。

前距腓靱帯は外果の前縁から前内方へ走って距骨頸に付着し、足関節底屈位で緊張して距骨の前方移動と内返しを制動する。したがって底屈位+内返しの強制で最も損傷しやすく、検査でも底屈位での内反ストレスで疼痛が誘発される。完全断裂では距骨の前方制動が失われ、踵を前方に引く前方引き出しテストで健側より大きく動く。ただし急性期は疼痛と筋防御のため正確な評価が難しいので、腫脹の広がり、荷重の可否、外果・内果後縁や第5中足骨基部・舟状骨の骨性圧痛を確認し、骨折が否定できない場合は画像評価につなげる。初期はRICE処置と患部の保護を行い、疼痛の軽減に合わせて可動域訓練、腓骨筋群の強化、バランス訓練へと進める。

✓ 4. 正しい
重症例では距骨の前方引き出し症状がみられる。
前距腓靱帯が完全に断裂すると距骨の前方移動を止めるものがなくなるため、足関節をやや底屈位にして踵を前方へ引くと距骨が過剰に前方移動する。健側との左右差をみることが重要である。
✗ 1. 誤り
疼痛や腫脹の程度と損傷程度は比例する。
両者は比例しない。完全断裂では靱帯が切れきって張力がかからず、かえって痛みが軽いことがある。逆に部分損傷でも強い疼痛を訴える例がある。重症度の判定は疼痛の強さではなく、不安定性(前方引き出し・内反ストレス)の有無で行う。
✗ 2. 誤り
足関節底屈位に比べ足関節直角位での内反強制で疼痛が増強する。
逆である。前距腓靱帯は底屈位で緊張するため、底屈位での内反強制のほうが疼痛が増強する。直角位(0度)で緊張し内反を制動するのは踵腓靱帯であり、肢位を変えることで損傷靱帯を絞り込める。
✗ 3. 誤り
外果と第5中足骨基部を結ぶ線の中点から2横指前方に圧痛がみられる。
前距腓靱帯は外果前縁から距骨頸へ向かうため、圧痛は外果の前下方に限局する。外果と第5中足骨基部を結ぶ線の中点を起点にするなら、前方ではなく近位(上方)へたどった位置にあたる。中点から前方へ進むと踵立方関節や二分靱帯の領域になり、別の損傷を評価していることになる。
ポイント
  • 前距腓靱帯は底屈位で緊張。底屈+内返しの強制で最も損傷しやすい。
  • 踵腓靱帯は足関節直角位(0度)で緊張し内反を制動する。肢位を変えて損傷靱帯を絞り込む。
  • 重症例では前方引き出しテストが陽性(健側との左右差をみる)。
  • 疼痛・腫脹の強さと損傷程度は比例しない。判定は不安定性で行う。
  • 圧痛点は外果の前下方。骨性圧痛や荷重不能があれば骨折を疑い画像評価へつなぐ。
比較表
靱帯走行緊張する肢位陽性となる検査
前距腓靱帯外果前縁 → 距骨頸底屈位底屈+内反ストレス、前方引き出しテスト
踵腓靱帯外果尖 → 踵骨外側面直角位(0度)直角位での内反ストレス
後距腓靱帯外果窩 → 距骨後突起背屈位単独損傷はまれ
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