学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ25P067

理由で解く 柔道整復師

QJ25P067 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問67
問題
ベネット(Bennett)損傷でみられないのはどれか。
選択肢
1 肩関節の外旋可動域が減少する。
2 肩関節の外転・外旋で疼痛を生じる。
3 肩関節後方に圧痛がある。
4 投球時のコッキング期に疼痛を訴える。
解答
正解1(肩関節の外旋可動域が減少する。)
解説

ベネット損傷は投球動作の繰り返しで肩甲骨関節窩の後下縁に骨棘が形成される投球障害肩である。この病態で外旋可動域が「減少」することはなく、むしろ投球側では外旋が増大し内旋が減少する。

投球のコッキング後期から加速期にかけて、肩関節は外転・最大外旋位となり後方関節包や上腕三頭筋長頭起始部に強い牽引力がかかる。この牽引が繰り返されると、関節窩後下縁に沿って骨棘(ベネット骨棘)が形成される。臨床では肩後方の限局性圧痛と、外転・外旋を強制したときの後方痛が特徴となる。一方、投球肩に共通する可動域の変化は「外旋の増大・内旋の減少(GIRD)」であり、後方関節包の拘縮によって内旋が制限されるのが典型である。したがって外旋可動域の減少はベネット損傷の所見として合致しない。設問は「みられないのはどれか」であり、答えは1となる。

✓ 1. これが答え(みられない所見)
肩関節の外旋可動域が減少する。
投球側の肩は繰り返す外旋強制により前方組織が緩み、外旋可動域はむしろ増大する。制限されるのは後方関節包の拘縮による内旋であり、外旋減少はベネット損傷の像と逆になる。
✗ 2. みられる(答えではない)
肩関節の外転・外旋で疼痛を生じる。
外転・外旋位は関節窩後下縁と後方関節包に牽引と圧迫が集中する肢位であり、骨棘部が刺激されて疼痛が誘発される。典型的な誘発所見である。
✗ 3. みられる(答えではない)
肩関節後方に圧痛がある。
骨棘の形成部位が関節窩の後下縁であるため、圧痛は肩関節後方に限局して現れる。部位を押さえて痛みを確かめられる点が診断上の手がかりになる。
✗ 4. みられる(答えではない)
投球時のコッキング期に疼痛を訴える。
コッキング後期は肩が最大外旋する局面で、後方組織への牽引ストレスが最大となる。この時期の疼痛は投球障害肩に共通してよくみられる訴えである。
ポイント
  • ベネット損傷=投球の繰り返しで肩甲骨関節窩後下縁に生じる骨棘(投球障害肩の一型)。
  • 成因はコッキング後期〜フォロースルー期の後方関節包・上腕三頭筋長頭起始部への牽引ストレス。
  • 所見は肩後方の限局性圧痛、外転・外旋での疼痛、投球時痛。
  • 可動域は「外旋増大・内旋減少(GIRD)」が特徴。外旋減少は合致しない。
  • 投球数と投球フォームの調整、後方関節包のストレッチを指導し、疼痛が持続する場合は画像評価のため医師へ紹介する。
比較表
項目ベネット損傷でみられるみられない
圧痛部位肩関節後方(関節窩後下縁)肩関節前方の限局性圧痛が主体となること
可動域外旋増大・内旋減少外旋可動域の減少
疼痛の時期コッキング後期〜フォロースルー期安静時のみの持続痛
誘発肢位外転・外旋強制下垂位での内転
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