学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §15 部位別各論 体幹 / QJ25P062

理由で解く 柔道整復師

QJ25P062 整形外科学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問62
問題
第4・第5 腰椎椎間板の突出型ヘルニアの臨床所見で正しいのはどれか。
選択肢
1 FNS テスト陽性
2 足関節クローヌス陽性
3 下腿内側の感覚障害
4 長母趾伸筋筋力低下
解答
正解4(長母趾伸筋筋力低下)
解説

第4・第5腰椎間(L4/5)の椎間板ヘルニアは、後外側へ突出してL5神経根を圧迫するのが典型です。L5は長母趾伸筋を支配し、感覚は下腿外側から足背・母趾に分布するため、母趾の背屈力低下がその高位を指し示します。

腰椎では、髄核が後外側へ突出すると、その椎間の下位の番号の神経根が押されます。L4/5なら第5腰神経根、L5/S1なら第1仙骨神経根という対応です。L5が障害されると、長母趾伸筋・前脛骨筋・中殿筋の筋力が落ち、母趾の背屈が弱くなって「紙一枚分の力の差」として現れ、感覚障害は下腿外側から足背・母趾に及びます。腱反射はL4(膝蓋腱反射)とS1(アキレス腱反射)に対応するため、L5単独の障害では反射の変化に乏しいことが特徴です。誘発テストは坐骨神経を伸張する下肢伸展挙上(SLR)テストが陽性となります。なお、両下肢の麻痺が進む、会陰部のしびれや排尿・排便の障害が出るといった馬尾症候群を疑う所見があれば、緊急手術の対象となるため、直ちに医療機関へつなぎます。

✓ 4. 正しい
長母趾伸筋筋力低下
長母趾伸筋はL5神経根が主に支配する筋で、L4/5ヘルニアによるL5障害を最も鋭敏に反映します。母趾の背屈に抵抗を加えて左右差をみるだけで評価でき、進行すると下垂足に至ることもあるため、経過を追ううえでも有用な指標です。
✗ 1. 誤り
FNS テスト陽性
大腿神経伸展(FNS)テストは腹臥位で膝を曲げ股関節を伸展させ、大腿神経(L2〜L4)を伸張する検査で、L3/4(L4神経根)やL2/3など、上位腰椎のヘルニアで陽性となります。本問のL4/5ヘルニア(L5障害)で陽性になるのは、坐骨神経を伸張するSLRテストのほうです。
✗ 2. 誤り
足関節クローヌス陽性
クローヌス(間代)は錐体路が障害されたときに現れる上位運動ニューロン徴候です。腰椎椎間板ヘルニアが圧迫するのは神経根・馬尾という下位運動ニューロンなので、腱反射は低下する方向であり、クローヌスは陰性です。腰部の症状で下肢にクローヌスや病的反射を認めた場合は、頸髄・胸髄の病変を考えて医師の診察につなぎます。
✗ 3. 誤り
下腿内側の感覚障害
下腿内側から内果にかけての感覚はL4(伏在神経)の領域で、L3/4ヘルニアで障害されます。L5の感覚領域は下腿外側から足背、母趾側であり、部位が一つ上にずれています。
ポイント
  • 後外側型のヘルニアは、その椎間の下位の番号の神経根を圧迫する(L4/5→L5、L5/S1→S1)。
  • L5障害=長母趾伸筋・前脛骨筋・中殿筋の筋力低下、下腿外側〜足背・母趾の感覚障害、反射の変化は乏しい。
  • 膝蓋腱反射はL4、アキレス腱反射はS1に対応する。
  • FNSテストはL3/4以上の高位(L3/4・L2/3)のヘルニア、すなわち大腿神経(L2〜L4)領域の障害で陽性。
  • SLRテストはL4/5・L5/S1のヘルニア、すなわち坐骨神経(L4〜S1)領域の障害で陽性。
  • クローヌスや病的反射は上位運動ニューロン徴候。腰椎ヘルニアでは陰性で、認めれば上位病変を疑って医師へつなぐ。
  • 膀胱直腸障害・会陰部のしびれ・進行する麻痺は馬尾症候群を示唆し、緊急対応が必要。
比較表
ヘルニア高位障害神経根感覚障害筋力低下腱反射誘発テスト
L3/4L4下腿内側〜内果大腿四頭筋、前脛骨筋膝蓋腱反射の低下FNSテスト陽性
L4/5L5下腿外側〜足背・母趾長母趾伸筋、前脛骨筋、中殿筋変化に乏しいSLRテスト陽性
L5/S1S1足部外側〜小趾・踵下腿三頭筋、長母趾屈筋アキレス腱反射の低下SLRテスト陽性
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