学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §14 疾患別各論 神経・筋疾患 / QJ34P062

理由で解く 柔道整復師

QJ34P062 整形外科学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問62
問題
障害と神経の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 手根管症候群-正中神経
2 肘部管症候群-尺骨神経
3 足根管症候群脛骨神経
4 ギヨン(Guyon)管症候群-橈骨神経
解答
正解4(ギヨン(Guyon)管症候群-橈骨神経)
解説

「誤っているのはどれか」を問う設問です。ギヨン管(尺骨神経管)を通るのは尺骨神経であり、橈骨神経と組み合わせた4が設問の答えです。

絞扼性神経障害は「どのトンネルを、どの神経が通るか」を場所で押さえると一気に整理できます。手根管は手根骨と屈筋支帯が作るトンネルで、正中神経と屈筋腱が通り、圧迫されると母指から環指橈側のしびれと母指球筋の萎縮が起こります。肘部管は上腕骨内側上顆の後方、肘の内側にある溝で、尺骨神経が通るため小指と環指尺側のしびれと骨間筋の萎縮が出ます。ギヨン管はそのさらに末梢、手掌の尺側で豆状骨と有鈎骨鈎の間に作られる短いトンネルで、ここも尺骨神経の通り道です。肘部管との違いは、ギヨン管より手前で分岐する背側枝が障害を免れるため、手背尺側の感覚が保たれる点にあります。足根管は内果の後下方、屈筋支帯の下にあり、脛骨神経が通って足底のしびれと灼熱感を生じます。一方の橈骨神経は上腕骨の橈骨神経溝や、前腕の回外筋(フローゼのアーケード)で絞扼を受け、下垂手や後骨間神経麻痺の形をとります。

✓ 4. これが誤った組合せ(設問の答え)
ギヨン(Guyon)管症候群-橈骨神経
ギヨン管は手掌尺側で豆状骨と有鈎骨鈎の間に形成されるトンネルで、通るのは尺骨神経です。したがって橈骨神経との組合せは成り立ちません。長時間の自転車のハンドル把持や手掌尺側の圧迫、ガングリオンなどが原因となり、小指球筋や骨間筋の筋力低下を生じます。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
手根管症候群-正中神経
手根管を通るのは正中神経と屈筋腱です。中年女性や妊娠期、透析患者に多く、夜間や明け方のしびれ、ファレンテスト・ティネル徴候陽性、進行例では母指球の萎縮と対立障害がみられます。組合せは正しいので答えにはなりません。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
肘部管症候群-尺骨神経
肘部管は上腕骨内側上顆の後方にあり、尺骨神経が通ります。肘の変形性関節症やガングリオン、外反肘、長時間の肘屈曲位が誘因となり、小指と環指尺側のしびれ、鉤爪指変形、骨間筋の萎縮を生じます。組合せは正しく、答えにはなりません。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
足根管症候群脛骨神経
足根管は内果の後下方、屈筋支帯の下のトンネルで、脛骨神経とその分枝が通ります。足底のしびれ・灼熱感が主症状で、内果後方の叩打でティネル徴候が誘発されます。組合せは正しく、答えにはなりません。
ポイント
  • 手根管=正中神経、肘部管=尺骨神経、ギヨン管=尺骨神経、足根管=脛骨神経。
  • 尺骨神経は肘(肘部管)と手首(ギヨン管)の2か所で絞扼されうる点が頻出。
  • 手背尺側の感覚が保たれていればギヨン管、失われていれば肘部管を疑う(背側枝の分岐位置の違い)。
  • 橈骨神経の絞扼部位は橈骨神経溝と回外筋(フローゼのアーケード)。下垂手・後骨間神経麻痺。
  • 絞扼部の叩打でしびれが放散するティネル徴候が、部位同定の共通の手がかりになる。
比較表
症候群神経トンネルの場所主な症状
手根管症候群正中神経手根骨と屈筋支帯の間母指〜環指橈側のしびれ、母指球萎縮、夜間増悪
肘部管症候群尺骨神経上腕骨内側上顆の後方小指・環指尺側のしびれ、手背尺側も障害、鉤爪指
ギヨン管症候群尺骨神経豆状骨と有鈎骨鈎の間(手掌尺側)小指側のしびれ、手背尺側の感覚は保たれる
足根管症候群脛骨神経内果後下方、屈筋支帯の下足底のしびれ・灼熱感
(参考)回外筋症候群橈骨神経(後骨間神経)回外筋のフローゼのアーケード下垂指(感覚障害は目立たない)
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