学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 外科学概論 ▸ §9 麻酔 / QJ25P050
理由で解く 柔道整復師
脊髄くも膜下麻酔は腰椎で穿刺し、原則として臍より下の手術に用いる。硬膜・くも膜に開いた穴から脳脊髄液が漏れ続けると硬膜穿刺後頭痛が起こるため、正しいのは4。
成人の脊髄は第1腰椎下縁(〜第2腰椎上縁)で脊髄円錐として終わり、それより下には脊髄本体がなく、馬尾が髄液中に浮いているだけとなる。だから脊髄円錐より尾側にあたるL2/3〜L4/5の椎間から穿刺すれば、針は馬尾を押し分けて進むので脊髄本体を傷つけにくい(左右の腸骨稜を結ぶヤコビー線がおよそL4棘突起の高さで、部位決定の目安になる)。くも膜下腔では脊髄神経根が、末梢神経のような神経上膜・神経周膜といった結合組織性の鞘に包まれずに髄液中へ露出しているため、少量の局所麻酔薬でも確実に知覚・運動・交感神経が遮断される。ただし遮断は線維の太さの順に進み、細い交感神経線維(B線維)が最も早く遮断されるため、交感神経遮断域は知覚遮断域より2〜4分節高くなる点に注意がいる。遮断域が上がりすぎると交感神経遮断による血圧低下・徐脈、さらにT4より高位では肋間筋麻痺による呼吸抑制が問題となる。また硬膜に開いた穿刺孔から髄液が漏れて髄液圧が下がると、起立時に脳が下方へ偏位して硬膜・血管・神経が牽引され、代償性の血管拡張も加わって頭痛が生じる。
| 項目 | 脊髄くも膜下麻酔 | 硬膜外麻酔 |
|---|---|---|
| 薬液を入れる場所 | くも膜下腔(脳脊髄液の中) | 硬膜外腔(硬膜の外側) |
| 薬液が触れる神経 | 結合組織性の鞘に包まれず髄液中に露出した神経根に、直接触れる | 硬膜や神経周膜などの結合組織性の鞘を越えて浸透する必要がある |
| 薬液量 | 少量(数mL):上記のとおり神経根に直接作用するため | 多量(十数mL):鞘を越えて浸透させ、硬膜外腔に広げる必要があるため |
| 穿刺高位 | 腰部のみ(L2/3〜L4/5) | 頸部・胸部・腰部いずれも可能 |
| 効果発現 | 速い(数分) | やや遅い(15〜20分) |
| 麻酔域の調節 | 薬液の比重と体位 | カテーテル留置高位と薬液量 |
| 持続投与 | 通常は単回投与 | カテーテル留置で持続投与・術後鎮痛が可能 |
| 硬膜穿刺後頭痛 | 起こりうる(細いペンシルポイント針で予防) | 本来は起こらないが、誤って硬膜を穿刺すると太い針のため強く出る |
| 主な適応 | 下腹部・鼠径部・会陰・肛門・下肢の手術 | 広範囲。全身麻酔との併用や術後鎮痛にも用いる |
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