学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §7 滅菌法と消毒法 / QJ25P045

理由で解く 柔道整復師

QJ25P045 外科学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問45
問題
消毒と滅菌で正しいのはどれか。
選択肢
1 皮膚消毒は一時的フローラの消毒を行う。
2 粘膜消毒に消毒用エタノールを用いる。
3 高圧蒸気滅菌は金属の消毒ができない。
4 酸化エチレンガス滅菌は熱に弱い素材に使用しない。
解答
正解1(皮膚消毒は一時的フローラの消毒を行う。)
解説

正しいのは1。皮膚の消毒で実際に取り除けるのは一時的(通過性)フローラであり、毛包の深部などに住む常在フローラを完全に消し去ることはできません。

皮膚の細菌は2種類に分けて考えます。一時的フローラ(通過菌)は、手指や術野に外から付着した黄色ブドウ球菌やグラム陰性桿菌などで、皮膚表面にいるため洗浄と消毒で除去できます。一方、常在フローラ(表皮ブドウ球菌、アクネ菌など)は毛包・皮脂腺・汗腺の深部に生息し、消毒薬が届ききらないため減らせても無菌にはできません。手術部位感染対策で「手洗い+消毒」を繰り返す理由も、術野を無菌にできるからではなく、一時的フローラを確実に落とし常在菌を最小化するためです。この使い分けが消毒と滅菌を区別する土台になります。

✓ 1. 正しい
皮膚消毒は一時的フローラの消毒を行う。
消毒で対象にできるのは皮膚表面に付着した一時的フローラです。常在フローラは付属器深部にいるため完全除去はできず、だからこそ手術では消毒に加えてドレーピング・清潔操作・術前抗菌薬という多重の対策を重ねます。
✗ 2. 誤り
粘膜消毒に消毒用エタノールを用いる。
消毒用エタノールはタンパク変性で殺菌するため、粘膜や損傷皮膚に用いると強い刺激と疼痛、組織障害を起こします。粘膜にはポビドンヨードやベンザルコニウム塩化物など刺激の少ない薬剤を選びます。なお、クロルヘキシジングルコン酸塩はショック(アナフィラキシー)の報告があるため、日本では粘膜面への使用は禁忌です。
✗ 3. 誤り
高圧蒸気滅菌は金属の消毒ができない。
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ、飽和水蒸気で121℃・約20分または134℃・短時間)は、鋼製小物などの金属器具・ガラス・リネンに適した最も基本的な滅菌法です。適さないのは熱や湿気に弱いプラスチック・ゴムの一部、油脂、粉末で、金属はむしろ得意分野といえます。
✗ 4. 誤り
酸化エチレンガス滅菌は熱に弱い素材に使用しない。
記述が逆です。酸化エチレンガス(EOG)滅菌は50〜60℃程度の低温で行えるため、内視鏡やカテーテルなど熱に弱い素材にこそ使われます。ただしガスに発癌性があり残留するため、滅菌後は十分なエアレーション(強制換気)期間を置いてから使用します。
ポイント
  • 一時的フローラ=表面の通過菌で消毒により除去可能。常在フローラ=付属器深部で完全除去は不可。
  • 消毒用エタノールは粘膜・損傷皮膚には用いず、ポビドンヨードなど低刺激の薬剤を選ぶ。
  • クロルヘキシジングルコン酸塩は粘膜(腟・膀胱・口腔など)および耳への使用が禁忌。ショック(アナフィラキシー)の報告があるため、「粘膜にクロルヘキシジンは使わない」と覚える。
  • 高圧蒸気滅菌は金属・ガラス・リネン向けの標準法。熱や湿気に弱い素材には不向き。
  • EOGは低温滅菌なので熱に弱い器材用。残留ガス対策としてエアレーションが必須。
  • 「滅菌=すべての微生物を除去」「消毒=有害な微生物を害のない程度まで減らす」の違いを押さえる。
比較表
方法条件適する対象注意点
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)飽和水蒸気 121℃約20分/134℃短時間金属器具、ガラス、リネン熱・湿気に弱い素材、油脂、粉末には不可
酸化エチレンガス(EOG)滅菌50〜60℃の低温ガスプラスチック、ゴム、内視鏡、カテーテル発癌性。エアレーションで残留ガスを除く
過酸化水素低温プラズマ滅菌低温・短時間熱に弱い精密器材紙・リネン・長い管腔には不向き
消毒(薬液)薬剤ごとの濃度・接触時間皮膚、粘膜、環境芽胞まで死滅させられるとは限らない。クロルヘキシジンは粘膜禁忌
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。