学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ25A025

理由で解く 柔道整復師

QJ25A025 必修問題

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問25
問題
肋骨骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 疲労骨折では縦隔の偏位となる。
2 変形所見では漏斗胸を呈する。
3 完全骨折では圧迫痛を認める。
4 不全骨折では胸郭支持性を失う。
解答
正解3(完全骨折では圧迫痛を認める。)
解説

正答は3。胸郭を離れた部位から圧迫すると骨折部に痛みが響く胸郭圧迫痛(介達痛)が、肋骨骨折を疑う基本の所見です。

肋骨は胸骨と脊柱をつないで胸郭という輪をつくっています。そのため、胸骨と背部から前後方向に、あるいは左右から圧迫すると輪全体がたわみ、骨の連続性が絶たれた骨折部に応力が集中して鋭い痛みが再現されます。これが胸郭圧迫痛で、深呼吸・咳嗽・くしゃみ・体幹回旋でも疼痛が増強します。好発部位は第5〜8肋骨の側方です。臨床で重要なのは骨折そのものより合併損傷で、胸膜・肺が傷つけば気胸・血胸・皮下気腫を、連続する複数肋骨がそれぞれ2か所以上折れれば動揺胸郭(フレイルチェスト)を生じます。呼吸状態と皮下の握雪感を必ず確認し、異常があれば直ちに医科へ紹介します。

✓ 3. 正しい
完全骨折では圧迫痛を認める。
骨の連続性が絶たれているため、胸郭を前後・側方から圧迫して輪をたわませると骨折部に応力が集中し、離れた部位への圧迫で局所痛が誘発されます(介達痛)。不全骨折でも認めることがありますが、完全骨折ではより明瞭に再現されます。圧迫は強すぎると転位を助長するので、愛護的に行います。
✗ 1. 誤り
疲労骨折では縦隔の偏位となる。
縦隔の偏位は、緊張性気胸で胸腔内圧が高まり縦隔が健側へ押されたときに生じる所見です。咳嗽などの反復により起こる肋骨の疲労骨折そのもので縦隔が偏位することはありません。縦隔偏位は緊急性の高いサインとして、別の病態と結びつけて覚えます。
✗ 2. 誤り
変形所見では漏斗胸を呈する。
漏斗胸は胸骨部が陥凹する先天性の胸郭変形で、骨折の結果として生じるものではありません。肋骨骨折でみられる変形は骨折部の限局した陥凹や段差であり、多発すれば動揺胸郭となります。
✗ 4. 誤り
不全骨折では胸郭支持性を失う。
胸郭の支持性が失われるのは、連続する複数の肋骨がそれぞれ2か所以上で完全骨折した動揺胸郭の場合です。不全骨折では骨の連続性が保たれているため支持性は失われません。動揺胸郭では吸気時に患部が陥凹する奇異呼吸を示し、直ちに医科搬送が必要です。
ポイント
  • 胸郭圧迫痛(介達痛)は肋骨骨折の基本所見。前後方向・側方から胸郭をたわませて確認する。
  • 深呼吸・咳嗽・くしゃみ・体幹回旋で疼痛が増強。好発は第5〜8肋骨の側方
  • 動揺胸郭=連続する複数(3本以上)の肋骨がそれぞれ2か所以上完全骨折し、吸気時に陥凹する奇異呼吸を示す状態。
  • 合併損傷として気胸・血胸・皮下気腫を必ず疑う。呼吸困難、頻呼吸、皮下の握雪感があれば速やかに医師へ紹介する。
  • 縦隔偏位は緊張性気胸のサイン。ショック徴候を伴えば救急対応の対象。
比較表
病態骨の連続性主な所見
不全骨折(亀裂骨折)保たれる限局性圧痛、胸郭圧迫痛、深呼吸・咳嗽時痛。胸郭支持性は保たれる
完全骨折(単発)絶たれる圧迫痛が明瞭、軋轢音、限局した陥凹・段差
多発骨折(動揺胸郭)複数箇所で絶たれる胸郭支持性の消失、吸気時陥凹の奇異呼吸、呼吸不全
緊張性気胸(合併損傷)患側呼吸音減弱、頸静脈怒張、縦隔の健側偏位、ショック
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