学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ25A026

理由で解く 柔道整復師

QJ25A026 必修問題

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問26
問題
顎関節前方脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 閉口時オトガイへの打撃で発生する。
2 関節頭は関節結節の下方にある。
3 外側靱帯損傷はみられない。
4 下顎歯列に対し上顎歯列が前方に位置する。
解答
正解3(外側靱帯損傷はみられない。)
解説

顎関節前方脱臼は生理的な滑走運動の延長線上で起こるため、靱帯や関節包の断裂を伴いません。正答は3。

顎関節は大きく開口すると、下顎頭が関節円板とともに下顎窩から関節結節の位置まで前方へ滑走する構造をもち、もともと前方への可動性が大きい関節です。あくび、大笑い、抜歯や気管挿管などの長時間開口、嘔吐といった場面で開口が強制されると、下顎頭が関節結節を越えて前方へ滑り出し、閉口筋の緊張によって戻れなくなります。この経路は正常運動の延長にあるため、外側靱帯をはじめとする靱帯や関節包は断裂しないのが原則です。徒手整復が容易である一方、支持機構が緩めば反復しやすく、習慣性脱臼に移行します。両側脱臼では開口したまま閉口できず、下顎が前方へ突出して流涎や言語障害を伴い、片側脱臼ではオトガイ部が健側へ偏位します。

✓ 3. 正しい
外側靱帯損傷はみられない。
前方脱臼は生理的滑走の延長で下顎頭が関節結節を越えるため、外側靱帯(顎関節の主靱帯)や関節包の断裂を伴わないのが原則です。これが徒手整復の容易さの理由であり、同時に反復・習慣性脱臼になりやすい理由でもあります。整復後は数日間の大開口回避と包帯による支持を指導します。
✗ 1. 誤り
閉口時オトガイへの打撃で発生する。
前方脱臼が起こるのは大開口位のときです。閉口位では下顎頭が下顎窩に深く収まり、前方は関節結節に阻まれているため前方へは外れにくくなっています。誘因はあくび・大笑い・抜歯・嘔吐など、開口が強制される場面です。
✗ 2. 誤り
関節頭は関節結節の下方にある。
前方脱臼では下顎頭が関節結節を乗り越えて前方(前上方)へ移動します。したがって「結節の下方にある」という位置関係にはなりません。位置の前後関係が、この脱臼を理解する中心になります。
✗ 4. 誤り
下顎歯列に対し上顎歯列が前方に位置する。
前方へ移動するのは下顎です。そのため下顎歯列が上顎歯列より前に出た、いわゆる受け口様の咬合になります。上下が逆に書かれています。
ポイント
  • 顎関節前方脱臼は大開口時(あくび、大笑い、抜歯、気管挿管、嘔吐)に発生する。閉口位では起こりにくい。
  • 下顎頭は関節結節を越えて前方へ移動する。関節包・靱帯の断裂を伴わないのが原則。
  • 両側脱臼=開口したまま閉口できず、下顎前突・流涎・言語障害。片側脱臼=オトガイ部が健側へ偏位。
  • 整復はヒポクラテス法。保護した両母指を下顎臼歯部の咬合面に置いて下方へ圧し、後方へ導いて閉口させる。
  • 整復後は包帯で下顎を支持し、数日間は大開口を避けるよう指導する。反復例は習慣性脱臼として医科へつなぐ。
比較表
項目正常な大開口前方脱臼
下顎頭の位置関節結節付近まで前方滑走し、閉口で復位する関節結節を越えて前方へ移動し、自力で戻らない
靱帯・関節包損傷なし断裂を伴わないのが原則(外側靱帯も損傷しない)
咬合閉口可能閉口不能。下顎歯列が上顎歯列より前方へ
その他の所見両側では流涎・言語障害、片側ではオトガイが健側へ偏位
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