学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ24P107

理由で解く 柔道整復師

QJ24P107 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問107
問題
52歳の女性。6か月前から週1回のテニスの練習をしている。バックハンドストロークの練習をしていたところ右肘の外側に強い痛みが出現した。日常生活にも支障が出てきて来所した。中指伸展テスト及びトムゼンテストが陽性であった。最も関与しているのはどれか。
選択肢
1 長橈側手根伸筋
2 短橈側手根伸筋
3 腕橈骨筋
4 回外筋
解答
正解2(短橈側手根伸筋)
解説

バックハンドストロークで生じた肘外側の痛みに、中指伸展テストとトムゼンテストの陽性がそろっており、上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)と考えられます。その主座になるのは短橈側手根伸筋の起始部です。

上腕骨外側上顆には手関節と手指の伸筋群がひとまとまりになった共通伸筋起始腱が付着します。その中で短橈側手根伸筋の起始部は深層にあって上腕骨小頭と接するため、肘を曲げ伸ばしするたびに骨と擦れ合う位置関係にあります。ここに、手関節を背屈位に保ったままボールの衝撃を受け止める動作が繰り返し加わると、微小な断裂と修復不全が積み重なって腱付着部の変性(腱付着部症)が起こります。トムゼンテストは手関節の背屈に抵抗を加えて伸筋群の起始部を直接引っ張るテストで、中指伸展テストは、短橈側手根伸筋が第3中手骨底に停止するという解剖を利用して同筋を選択的に緊張させるテストです。この2つがそろって陽性であることが、病巣が短橈側手根伸筋の起始部にあることを強く示しています。半年前から週1回という慣れない反復負荷と、この年代の腱変性が背景にあります。

✗ 1. 誤り
長橈側手根伸筋
起始は外側上顆そのものではなく、その近位にある上腕骨外側顆上稜です。停止は第2中手骨底なので、中指を伸展させても選択的には緊張しません。手関節背屈の負荷は分担しますが、両テスト陽性という所見から導かれる病変の主座にはなりにくい筋です。
✓ 2. 正しい
短橈側手根伸筋
外側上顆の共通伸筋起始腱の深層を占め、第3中手骨底に停止します。手関節背屈への抵抗(トムゼンテスト)でも中指伸展への抵抗(中指伸展テスト)でも起始部に張力が集中するため、両テストが陽性という本症例の所見に最もよく合います。外側上顆炎で病変が確認される頻度も、この筋の起始部が最も高いとされます。
✗ 3. 誤り
腕橈骨筋
外側顆上稜から起こって橈骨茎状突起に停止する肘の屈筋で、手関節の背屈にも中指の伸展にも働きません。したがって2つの誘発テストが陽性になる理由を説明できません。
✗ 4. 誤り
回外筋
外側上顆と尺骨の回外筋稜から起こり、前腕を回外させる筋です。この筋の深部を通る後骨間神経が絞扼されると外側上顆炎と紛らわしい肘外側痛が出るため鑑別に挙がりますが、手関節背屈と中指伸展への抵抗で痛みが誘発される本症例の所見の主役ではありません。
ポイント
  • 上腕骨外側上顆炎の本体は短橈側手根伸筋の起始部の腱付着部症。トムゼンテスト、中指伸展テスト、チェアテストが3大誘発テスト。
  • 中指伸展テストが効く理由は、短橈側手根伸筋が第3中手骨底に停止するから。長橈側手根伸筋は第2中手骨底で、起始も外側顆上稜と一段近位。
  • テニスではバックハンドで外側上顆炎、フォアハンドや投球動作の偏りでは内側上顆炎(ゴルフ肘)が生じやすい。
  • 対応は誘発動作を一時休止し、肘伸展・前腕回内・手関節掌屈での伸筋ストレッチ、前腕バンドの使用、体幹と下肢を使うフォームへの修正を指導する。
  • しびれや脱力、夜間痛が強い場合は後骨間神経障害や関節内病変も念頭に置き、医師へ相談する。
比較表
上腕骨外側上顆炎上腕骨内側上顆炎
主な責任筋短橈側手根伸筋(共通伸筋起始腱)円回内筋・橈側手根屈筋(共通屈筋起始腱)
痛む動作手関節背屈、物を持ち上げる、絞る手関節掌屈、前腕回内、握り込み
スポーツ場面テニスのバックハンドフォアハンド、ゴルフ、投球
誘発テストトムゼン、中指伸展、チェアテスト前腕回内・手関節掌屈への抵抗テスト
鑑別で注意後骨間神経の絞扼尺骨神経障害、内側側副靱帯損傷
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。