学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ24P108

理由で解く 柔道整復師

QJ24P108 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問108
問題
17歳の男子。野球部のキャッチャー。2週前に左示指をつき指したが、症状が軽く練習を継続していた。昨日、指の変形に気付き整形外科を受診し、装具固定を受け、DIP 関節の自動屈曲運動を行うように指導を受けた。 DIP 関節の自動屈曲を行っている写真(別冊 No. 3)を別に示す。考えられる損傷部位はどれか。
図
選択肢
1 終止腱
2 中央索
3 深指屈筋腱
4 PIP関節掌側板
解答
正解2(中央索)
解説

PIP関節背側の中央索が損傷し、遅れてボタン穴変形(PIP屈曲+DIP過伸展)が現れた例。装具でPIPを伸展位に保ちつつDIP関節の自動屈曲運動を行わせるのは、この損傷に対する標準的な指導である。正解は2。

指伸筋腱はPIP関節背側で中央索(中節骨底に付着)と両側の側索に分かれ、側索は合流して終止腱となり末節骨底に付く。中央索が切れるとPIP関節を伸ばす力が失われ、さらに側索がPIP関節の回転中心より掌側へ滑り落ちるため、側索の張力がPIPを曲げDIPを反らせる方向に働く。こうして生じるのがボタン穴(ボタンホール)変形で、受傷直後は変形がはっきりせず、数日から数週かけて完成することが多い。本例の「症状が軽く練習を継続、2週後に変形に気付いた」という経過はまさに典型である。治療はPIP関節を伸展位に固定して中央索の修復を待ちつつ、DIP関節の自動屈曲運動を行わせ、掌側へずれた側索を背側へ戻し、斜支靱帯の短縮・拘縮を防ぐ。変形が固定化する前に整形外科での評価・治療につなぐことが大切である。

✓ 2. 正しい
中央索
つき指後に遅れて指の変形が生じ、PIP伸展位固定+DIP自動屈曲運動という指導を受けている点が決め手。DIPを動かすのは側索を背側へ戻し斜支靱帯の拘縮を防ぐためで、中央索損傷(ボタン穴変形)に対する定石の運動指導である。
✗ 1. 誤り
終止腱
終止腱の断裂は槌指(マレット指)で、DIP関節が屈曲位のまま自動伸展できなくなる。治療はDIP関節を伸展位で固定することであり、DIPの自動屈曲運動を行わせる本例の指導とは正反対になる。
✗ 3. 誤り
深指屈筋腱
停止部での断裂(ジャージー指)ではDIP関節の自動屈曲ができなくなる。本例はDIP関節の自動屈曲運動を指導され実施できているため、深指屈筋腱の連続性は保たれていると判断できる。
✗ 4. 誤り
PIP関節掌側板
掌側板は過伸展を制動する構造で、その損傷が残るとPIP過伸展+DIP屈曲のスワンネック変形を生じる。ボタン穴変形とは形が逆であり、治療方針もPIPの過伸展を防ぐ固定となる。
ポイント
  • ボタン穴変形=PIP屈曲+DIP過伸展。原因は中央索断裂と側索の掌側滑落。
  • スワンネック変形=PIP過伸展+DIP屈曲。掌側板損傷などが背景。形を逆にして対で覚える。
  • 中央索損傷は受傷直後に変形が出ないことがあり、「軽いつき指」で見逃されやすい。PIP背側中央の圧痛と伸展力の低下に注意。
  • 治療はPIP伸展位固定+DIP自動屈曲運動。DIPを動かす理由は側索を背側に戻し斜支靱帯の短縮を防ぐこと。
  • スポーツ現場では継続を優先しがち。変形が固定化する前に整形外科での評価につなぐ。
比較表
損傷部位生じる変形・障害DIPの動き固定の要点
中央索ボタン穴変形(PIP屈曲・DIP過伸展)自動屈曲は可能で、むしろ運動を促すPIP伸展位固定+DIP自動屈曲運動
終止腱槌指(DIP屈曲変形)自動伸展ができないDIP伸展位固定(屈曲運動は行わない)
深指屈筋腱(停止部)ジャージー指自動屈曲ができない手術的修復が原則
PIP関節掌側板スワンネック変形(PIP過伸展・DIP屈曲)おおむね保たれるPIPの過伸展を制動する固定
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