学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ24P105

理由で解く 柔道整復師

QJ24P105 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問105
問題
50歳の男性。右肩痛を訴えて来所した。10年前に柔道で負傷したが放置していた。最近、右肩に力を入れると痛みが走り、肩を使うと次第に痛みが強くなる。近医で単純エックス線検査を受けたところ、図のような所見であった。検査で陽性となるのはどれか。
図
選択肢
1 サルカスサイン
2 ライトテスト
3 アドソンテスト
4 インピンジメントサイン
解答
正解4(インピンジメントサイン)
解説

10年前の肩の外傷を放置し、中年以降に「力を入れると痛みが走る・使うほど痛む」経過をたどる肩は、腱板の損傷・変性を背景としたインピンジメントを考える。陽性となるのは4のインピンジメントサイン。

腱板(とくに棘上筋腱)が損傷・変性すると、骨頭を関節窩に引きつける力が弱まって骨頭が上方へ偏位する。その状態で上腕を挙上すると、大結節と腱板が肩峰・烏口肩峰靱帯の下で衝突し、疼痛が誘発される。これを確かめるのがインピンジメントサインで、肩甲骨を押さえて他動的に前方挙上させるニアー法、肩90度屈曲位から内旋させるホーキンス法が代表的である。長期経過例では骨頭の上方移動や大結節・肩峰下の骨性変化がエックス線でとらえられることがある。経過(10年前の外傷、力を入れたときの疼痛、使用による増悪)と誘発テストの所見を合わせて腱板の障害を評価する。他の3つはいずれも肩関節の不安定性や胸郭出口症候群をみる検査で、本例の病態とは対象が異なる。

✓ 4. 正しい
インピンジメントサイン
腱板と肩峰・烏口肩峰靱帯の衝突を再現して疼痛を誘発する検査(ニアー法・ホーキンス法)。腱板損傷を背景とする本例の「肩を使うと痛みが強くなる」という訴えと機序が一致する。
✗ 1. 誤り
サルカスサイン
上腕を下方に牽引したとき肩峰と骨頭の間に溝(sulcus)ができる所見で、肩関節下方不安定性(動揺肩・多方向不安定症)を示す。本例の主訴は不安定感ではなく使用時の疼痛であり、対象とする病態が異なる。
✗ 2. 誤り
ライトテスト
上肢を外転・外旋させて橈骨動脈拍動の減弱をみる胸郭出口症候群(過外転型)の検査。上肢のしびれ・だるさ・脱力を訴える病態に用いるもので、肩の使用時痛を評価する検査ではない。
✗ 3. 誤り
アドソンテスト
頸部を伸展・患側へ回旋させ深吸気させて橈骨動脈拍動の減弱をみる、前斜角筋部での胸郭出口症候群の検査。こちらも血管・神経の絞扼をみるもので、腱板の評価には用いない。
ポイント
  • 「既往の外傷+力を入れると痛い+使うほど痛む」中高年の肩は、まず腱板損傷を疑う。
  • インピンジメントサインはニアー法(肩甲骨固定+他動的前方挙上)とホーキンス法(90度屈曲位で内旋)。
  • サルカスサイン=下方不安定性(動揺肩)。牽引で肩峰下に溝ができる。
  • ライト/アドソンテスト=胸郭出口症候群。橈骨動脈拍動の減弱と神経症状をみる。
  • 腱板断裂は自然に修復されにくい。超音波・MRIなどの評価につなぐため医師へ紹介する。
比較表
検査調べる病態方法の要点
サルカスサイン肩関節下方不安定性(動揺肩)上腕を下方へ牽引し肩峰下の陥凹をみる
ライトテスト胸郭出口症候群(過外転型)上肢を外転・外旋させ橈骨動脈拍動の減弱をみる
アドソンテスト胸郭出口症候群(前斜角筋部)頸部伸展・患側回旋+深吸気で拍動減弱をみる
インピンジメントサイン腱板と肩峰下の衝突(腱板損傷)ニアー法・ホーキンス法で疼痛を誘発する
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