学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ24P102

理由で解く 柔道整復師

QJ24P102 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問102
問題
6歳の女児。3週前に上腕骨顆上伸展型骨折をきたし、徒手整復と経皮的ピンニングが施行された。ギプス固定を本日除去し、後療法開始の指示を主治医から受けた。後療法に際して最も注意すべき合併症はどれか。
選択肢
1 ズデック (Sudeck) 骨萎縮
2 関節強直
3 骨化性筋炎
4 フォルクマン(Volkmann) 拘縮
解答
正解3(骨化性筋炎)
解説

ギプス除去後の後療法で最も注意すべきは3の骨化性筋炎。

上腕骨顆上骨折は小児に最も多い肘の骨折で伸展型が大部分を占める。受傷直後から48時間以内はフォルクマン拘縮(前腕のコンパートメント症候群)が最大の警戒事項だが、本例は受傷後3週でピンニングとギプス固定を終え、これから後療法に入る段階である。この時期に問題となるのは、肘関節周囲の血腫や損傷した軟部組織(特に上腕筋)に骨組織が形成される骨化性筋炎で、痛みを我慢させる強い他動運動やもみほぐすようなマッサージが誘因となる。後療法は疼痛のない範囲での自動運動を主体とし、日常生活動作を利用して可動域を少しずつ広げ、腫脹・熱感・可動域の悪化が出れば運動量を落として主治医に相談する。

✓ 3. 正しい
骨化性筋炎
肘関節周囲は骨化性筋炎の好発部位で、固定解除後の強引な他動運動やマッサージが誘因になる。自動運動を中心に据え、疼痛と熱感を指標に負荷を調整して進める。
✗ 1. 誤り
ズデック (Sudeck) 骨萎縮
外傷後に続く疼痛・浮腫に伴う骨萎縮で、成人の手・足に多い。小児の肘での発生はまれで、この時期に最も警戒すべきものではない。
✗ 2. 誤り
関節強直
関節面や関節包の癒着で可動域が失われる状態だが、小児は回復力が高く、適切な後療法で拘縮は改善しやすい。
✗ 4. 誤り
フォルクマン(Volkmann) 拘縮
受傷後48時間以内の急性期に、前腕屈筋群の区画内圧上昇と阻血によって生じる。受傷後3週の後療法開始時点で新たに発症する合併症ではない。
ポイント
  • 上腕骨顆上骨折(伸展型)は小児に最多。時期ごとに警戒すべき合併症が入れ替わる。
  • 急性期(〜48時間):フォルクマン拘縮、正中神経・橈骨神経損傷。5P(疼痛・蒼白・脈拍消失・感覚異常・麻痺)を確認する。
  • 治癒後の遺残:内反肘などの変形治癒、可動域制限。
  • 後療法期:骨化性筋炎。強い他動運動・マッサージ・過度な牽引は避ける。
  • 自動運動を主体に段階的に進め、腫脹・熱感・可動域の悪化があれば負荷を下げて主治医と連携する。
比較表
時期主な合併症対応の要点
受傷〜48時間フォルクマン拘縮、神経・血管損傷5Pの観察、直ちに医師へ
固定期変形治癒(内反肘)整復位の維持、定期的な確認
後療法期骨化性筋炎自動運動主体、強い他動運動を避ける
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