学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ24P101

理由で解く 柔道整復師

QJ24P101 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問101
問題
60歳の男性。5か月前に高所から飛び降り踵骨の骨折をした。現在でも疼痛や浮腫がみられるので主治医から後療法を依頼された。症状持続の要因で考えられるのはどれか。
選択肢
1 モートン(Morton)病
2 反射性交感神経性ジストロフィー
3 骨壊死
4 コンパートメント症候群
解答
正解2(反射性交感神経性ジストロフィー)
解説

受傷から5か月たっても疼痛と浮腫が続く点から、2の反射性交感神経性ジストロフィーが考えられる。

反射性交感神経性ジストロフィー(RSD、現在は複合性局所疼痛症候群〈CRPS〉type Iとも呼ばれる)は、外傷の程度に見合わない持続する疼痛に加え、腫脹・浮腫、皮膚の色調変化、発汗異常、皮膚温の左右差、関節拘縮を示し、進行すると単純エックス線で斑状の骨萎縮(ズデック骨萎縮)が現れる。骨折や捻挫のあとの長期固定・不動、疼痛への恐怖が悪循環をつくることが背景にある。後療法は疼痛の出ない範囲での自動運動と段階的な荷重、温熱や交代浴、皮膚への感覚入力を組み合わせ、動かしながら痛みを減らす方針で進め、経過を記録して主治医と共有する。

✓ 2. 正しい
反射性交感神経性ジストロフィー
骨折後に長く続く疼痛と浮腫という経過が典型的。皮膚温・色調・発汗の左右差、関節可動域、骨萎縮の有無を確認し、完全安静も強い他動運動も避けて自動運動主体で進める。
✗ 1. 誤り
モートン(Morton)病
主に第3・4中足骨頭間で足底趾神経が絞扼される病態で、前足部の疼痛としびれが主症状。踵部の疼痛・浮腫の持続を説明できない。
✗ 3. 誤り
骨壊死
踵骨は海綿骨に富み血行が良好で壊死を起こしにくい。無腐性壊死が問題となるのは距骨、大腿骨頭、手の舟状骨近位部など。
✗ 4. 誤り
コンパートメント症候群
受傷後数時間から数日の急性期に区画内圧が上昇して生じる病態で、5か月後に新たに発症するものではない。急性期の見逃しの結果として足趾の鉤趾変形などの拘縮を残すことはある。
ポイント
  • RSD(CRPS type I)=持続する疼痛+浮腫+皮膚の色調・温度・発汗異常+関節拘縮+骨萎縮。
  • 引き金は骨折・捻挫・長期固定・不動。明らかな神経損傷を伴わないのがtype I。
  • 単純エックス線での斑状・まだら状の骨萎縮がズデック骨萎縮。
  • 後療法の原則は「痛みの出ない範囲で動かし、使う」。完全安静と強い他動運動はどちらも避ける。
  • 温熱・交代浴・自動運動・段階的荷重を組み合わせ、経過を記録して主治医と情報を共有する。
比較表
時期踵骨骨折で問題となるもの
急性期(数時間〜数日)足部コンパートメント症候群、腫脹・水疱
治癒過程ベーラー角の減少、踵の扁平化・幅の増大
遷延期(数か月)RSD(CRPS type I)、距骨下関節の可動域制限、疼痛性跛行
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