学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ24P103

理由で解く 柔道整復師

QJ24P103 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問103
問題
58歳の男性。自転車で走行中に転倒し来所した。左上腕部の腫脹と変形を呈していた。近医で撮影した単純エックス線写真(別冊 No. 1)を別に示す。受傷直後から、母指・示指・中指の背側付近に感覚障害があった。まず行うべき固定肢位の組合せはどれか。
図
選択肢
1 肩関節外転位-手関節伸展位
2 肩関節外転位手関節屈曲位
3 肩関節内転位-手関節伸展位
4 肩関節内転位-手関節屈曲位
解答
正解1(肩関節外転位-手関節伸展位)
解説

母指・示指・中指の背側の感覚障害は橈骨神経浅枝の領域で、上腕骨骨幹部骨折に伴う橈骨神経麻痺を示す。骨折部は肩関節外転位で保持し、下垂手に対して手関節は伸展位に保つ。正しい組合せは1。

上腕部の腫脹・変形とエックス線検査から上腕骨骨幹部の骨折が示唆され、受傷直後からの母指〜中指背側の感覚障害は、上腕骨後面の橈骨神経溝を走る橈骨神経が骨折によって牽引・圧迫されたことを意味する。骨幹部骨折の転位様式は三角筋付着部との位置関係で決まる。付着部より遠位(中央から遠位1/3、橈骨神経溝のある高さ)の骨折では、近位骨片が三角筋に引かれて外転位をとるため、遠位骨片をその向きに合わせる目的で肩関節を外転位に保持する(肘は約90度屈曲、前腕中間位)。同時に、橈骨神経麻痺による下垂手を放置すると手関節・手指の伸筋腱が引き伸ばされ、拘縮と機能障害を残すため、手関節を伸展位(コックアップ位)に保つ。骨折に伴う一次性の橈骨神経麻痺は自然回復が期待できることが多いが、判断は医師に委ね、固定後も感覚・運動の変化を追跡する。

✓ 1. 正しい
肩関節外転位-手関節伸展位
近位骨片が三角筋に引かれて外転しているため、肩関節を外転位にして遠位骨片を近位骨片の向きに合わせる。加えて、橈骨神経麻痺による下垂手に対し手関節を伸展位に保持することで、伸筋腱の過伸張と拘縮を防ぎ、手の機能を守る。
✗ 2. 誤り
肩関節外転位手関節屈曲位
肩関節外転位は妥当だが、手関節屈曲位では下垂手の肢位をそのまま固定してしまい、伸筋腱が伸ばされたまま拘縮する。麻痺があるときの手関節は屈曲位ではなく伸展位に保つのが原則。
✗ 3. 誤り
肩関節内転位-手関節伸展位
手関節伸展位は妥当だが、肩関節内転位では外転している近位骨片と遠位骨片の向きが揃わず、屈曲・転位が残りやすい。三角筋付着部より遠位の骨折であることを踏まえ、肩は外転位に保つ。
✗ 4. 誤り
肩関節内転位-手関節屈曲位
骨折部の整復位保持と神経麻痺への対応のどちらの条件も満たさない。まず行うべきは「近位骨片に合わせた肩関節外転位」と「下垂手を防ぐ手関節伸展位」の2点であり、その上で速やかに医師の診察・画像評価につなぐ。
ポイント
  • 母指・示指・中指の背側の感覚=橈骨神経浅枝。この領域の障害+下垂手で橈骨神経麻痺を疑う。
  • 橈骨神経は上腕骨後面の橈骨神経溝(中央〜遠位1/3)を走るため、同部の骨幹部骨折で麻痺しやすい。
  • 転位は三角筋付着部が基準。付着部より遠位の骨折→近位骨片は外転→固定は肩関節外転位。
  • 麻痺があるときは手関節伸展位(コックアップ)で伸筋腱の過伸張と拘縮を防ぐ。
  • 固定後も感覚・運動を繰り返し確認し、記録する。悪化があれば速やかに医師へ。
比較表
骨折の高さ近位骨片遠位骨片固定時の肩の肢位
三角筋付着部より近位大胸筋・広背筋・大円筋に引かれ内転三角筋に引かれ外転・上方転位内転位に近い肢位で合わせる
三角筋付着部より遠位(橈骨神経溝の高さ)三角筋に引かれ外転上腕二頭筋・上腕三頭筋に引かれ上方転位外転位で合わせる
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