学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §7 リハビリテーションの実際 / QJ24P020

理由で解く 柔道整復師

QJ24P020 リハビリテーション医学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問20
問題
脳梗塞で流暢に話すが内容に脈絡がなく言語の理解も悪い。病変部位はどれか。
選択肢
1 右大脳半球
2 左大脳半球
3 小脳
4 脳幹
解答
正解2(左大脳半球)
解説

流暢に話すのに内容が伴わず、言語の理解も悪いのはウェルニッケ失語(感覚性失語)です。責任病巣は言語優位半球で、多くの人では左大脳半球にあります。

言語中枢は右利きの人のほぼ全員、左利きの人でも多くで左半球にあります。ウェルニッケ野は左上側頭回の後部にあり、耳から入った音のつらなりを意味に変換する働きを担います。ここが障害されると、発話のリズムや文法の形、話す量は保たれる(流暢)一方で、言い誤り(錯語)や意味を持たない造語(ジャルゴン)が混ざり、内容が空虚になります。同時に他人の言葉も自分の言葉も意味として受け取れないため、理解が悪く、誤りに自分で気づきにくいのも特徴です。対して前方のブローカ野(左下前頭回後部)が障害されると、理解は比較的保たれるのに発話が非流暢でたどたどしくなり、本人はもどかしさを強く自覚します。「後ろが悪いと、よく話すが分からない」「前が悪いと、分かるが話せない」と前後の位置で覚えると整理できます。なお、言葉の選択や理解は正常で発音だけが不明瞭になる構音障害(小脳や脳幹の障害で起こる)は失語とは別物です。

✗ 1. 誤り
右大脳半球
多くの人にとって劣位半球にあたります。この側の障害で目立つのは半側空間無視、着衣失行、構成障害などで、典型的な失語は通常生じません。
✓ 2. 正しい
左大脳半球
言語優位半球です。左上側頭回後部のウェルニッケ野が障害されると、流暢だが内容の乏しい発話と理解障害という本問の症状が生じます。
✗ 3. 誤り
小脳
運動の協調を担う部位です。障害では運動失調や断綴性言語(とぎれとぎれで抑揚の乱れた話し方)といった構音の問題が出ますが、言葉の意味の理解は保たれます。
✗ 4. 誤り
脳幹
脳幹の障害では意識障害、脳神経麻痺、交代性片麻痺、構音障害や嚥下障害などが前面に出ます。発音は障害されうるものの、言語の理解が失われる失語は起こしません。
ポイント
  • 流暢+理解不良=ウェルニッケ失語(感覚性失語)、病巣は左上側頭回後部。
  • 非流暢+理解比較的良好=ブローカ失語(運動性失語)、病巣は左下前頭回後部。
  • 言語中枢は多くの人で左半球(優位半球)。右半球障害では半側空間無視などが主体。
  • ジャルゴンや錯語が多く、誤りの自覚が乏しいのがウェルニッケ失語の特徴。
  • 失語(言葉の選択・理解の障害)と構音障害(発音の障害)は区別する。小脳・脳幹は構音側。
比較表
項目ブローカ失語ウェルニッケ失語構音障害(小脳・脳幹)
病巣左下前頭回後部(前方)左上側頭回後部(後方)小脳・脳幹・関連する脳神経
発話非流暢・努力性・電文体流暢・多弁、錯語やジャルゴン言葉は選べるが発音が不明瞭
理解比較的良好不良正常
復唱障害される障害される内容は保たれる
誤りの自覚強い(もどかしい)乏しいあり
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