学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §7 リハビリテーションの実際 / QJ24P019

理由で解く 柔道整復師

QJ24P019 リハビリテーション医学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問19
問題
脳卒中で正しいのはどれか。
選択肢
1 歩行が自立するとほとんどの症例で排泄も自立する。
2 下肢麻痺よりも上肢麻痺の方が治りやすい。
3 感覚障害の合併はごくまれである。
4 わが国では寝たきりの原因の第2位に挙げられる。
解答
正解1(歩行が自立するとほとんどの症例で排泄も自立する。)
解説

脳卒中では歩行の自立とADLの自立がよく相関し、歩行が自立した症例の多くは排泄も自立します。これが正しい記述です。

歩行が自立するには、下肢の支持性、立ち上がり動作、立位バランス、ある程度の持久力、そして手順を守れる認知機能が必要です。これらはトイレまで移動し、方向転換し、衣服を操作して便座へ移乗するという排泄動作の要素とほぼ重なります。そのため歩行自立は排泄自立を予測する良い指標になり、リハビリテーションの目標設定でも重視されます。麻痺の回復には部位差があり、一般に下肢のほうが上肢より回復しやすいとされます。上肢は手指の巧緻動作という細かい制御が要求され、皮質脊髄路の障害の影響を強く受けるため、機能的な回復に至りにくいのです。感覚障害は運動麻痺と同じ側に合併することがしばしばあり、まれではありません。感覚が乏しいと運動の修正が効かず、ADLの改善が遅れる予後不良因子になります。寝たきり・要介護の原因については、本問が出題された第24回(2016年3月実施)の時点で最新であった平成25年国民生活基礎調査で、介護が必要となった主な原因の全体の第1位が脳血管疾患(第2位が認知症)とされていました。

✓ 1. 正しい
歩行が自立するとほとんどの症例で排泄も自立する。
歩行自立に必要な下肢支持性・バランス・移乗能力・認知機能は、排泄動作に必要な要素とほぼ共通です。そのため歩行自立は排泄自立の指標として使えます。
✗ 2. 誤り
下肢麻痺よりも上肢麻痺の方が治りやすい。
実際は逆で、下肢のほうが回復しやすいとされます。上肢は手指の巧緻動作が求められる分、実用手に至る割合が低くなります。
✗ 3. 誤り
感覚障害の合併はごくまれである。
感覚障害はしばしば合併します。感覚のフィードバックが乏しいと運動学習が進まず、機能回復・ADL自立の妨げとなるため、評価と対策が必要です。
✗ 4. 誤り
わが国では寝たきりの原因の第2位に挙げられる。
出題時点で最新であった平成25年国民生活基礎調査では、介護が必要となった主な原因の全体でも第1位が脳血管疾患(第2位が認知症、次いで高齢による衰弱、骨折・転倒)であり、要介護4・5といった重度者ではその傾向がさらに強く出ます。したがって「第2位」は誤りです。なお後年の調査では認知症が第1位となり順位が入れ替わっているため、統計問題はその回の出題時点で最新の調査値で判断します。
ポイント
  • 歩行自立=排泄自立の良い指標。必要な能力(支持性・バランス・移乗・認知)が重なるから。
  • 麻痺の回復は下肢>上肢。上肢は巧緻性が求められる分、実用手になりにくい。
  • 感覚障害の合併はまれではなく、あると回復・予後が悪くなりやすい。
  • 出題時点(第24回・2016年/平成25年国民生活基礎調査)では、介護が必要となった主な原因の全体の第1位が脳血管疾患、第2位が認知症。
  • 後年の調査では認知症が第1位となり順位が入れ替わった。統計問題は「その回の出題時点で最新の調査値」で判断する。
比較表
論点まちがえやすい理解正しい理解
麻痺の回復上肢のほうが治りやすい下肢のほうが回復しやすい
感覚障害合併はごくまれしばしば合併し、予後不良因子となる
歩行と排泄別々の能力歩行が自立すればほとんどの症例で排泄も自立
寝たきり・要介護の原因(出題時点)第2位/全体では1位でない平成25年国民生活基礎調査では全体でも第1位が脳血管疾患(第2位が認知症)
年次による変動順位は固定後年の調査では認知症が第1位に入れ替わっている
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。