学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ24A020

理由で解く 柔道整復師

QJ24A020 必修問題

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問20
問題
骨折の介達牽引療法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 長骨骨幹部の骨折に用いる。
2 捻転転位の整復を目的とする。
3 整復位の保持が困難な場合に用いる。
4 牽引による筋緊張が副子として作用する。
解答
正解2(捻転転位の整復を目的とする。)
解説

介達牽引は皮膚を介した比較的弱い牽引で、捻転(回旋)転位の整復には適しません。したがって2が誤り=正答です。

介達牽引は、スピードトラックなどの牽引バンドを皮膚に貼り付け、包帯で巻いて骨に間接的に力を伝える方法です。骨に直接ピンやワイヤーを刺す直達牽引と違い、非観血的で手軽に行える反面、皮膚が耐えられる張力に限りがあるため大きな重量はかけられません(成人でおおむね数kg程度)。牽引が効くのは、長軸方向に引くことで短縮転位が是正され、同時に周囲の筋が緊張して骨折部を包み込むように支える点にあります。この筋の緊張が副子のように働くことを「筋の副子作用(生理的副子)」といい、側方転位や屈曲転位もある程度整復・保持されます。しかし捻転転位は骨片の長軸まわりの回旋であり、長軸方向に引くだけでは元に戻りません。皮膚を介した牽引では骨片の回旋を直接制御できないため、捻転は徒手整復で確実に矯正し、必要に応じて直達牽引や観血的手術を選択します。なお牽引中は末梢の循環・知覚・運動の確認、皮膚障害や腓骨頭部での腓骨神経麻痺の有無を定期的にチェックします。

✗ 1. 正しい記述(答えではない)
長骨骨幹部の骨折に用いる。
大腿骨や上腕骨などの長管骨骨幹部骨折は筋の牽引力で短縮転位を起こしやすく、介達牽引のよい適応となる。正しい記述。
✓ 2. これが誤り(正答)
捻転転位の整復を目的とする。
長軸方向に引く牽引では骨片の回旋は戻せない。捻転転位は徒手整復で矯正し、必要なら直達牽引や手術を選ぶ。この記述が誤りなので正答となる。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
整復位の保持が困難な場合に用いる。
固定だけでは再転位しやすい骨折で、持続的な牽引によって整復位を保つのは介達牽引の主要な目的のひとつ。正しい記述。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
牽引による筋緊張が副子として作用する。
牽引で周囲の筋が緊張し、骨折部を包み込んで支える「筋の副子作用(生理的副子)」が働く。介達牽引の効果を説明する正しい記述。
ポイント
  • 介達牽引は皮膚を介して間接的に牽引する方法。非観血的で手軽だが、かけられる重量は限られる。
  • 目的は短縮転位の是正と整復位の保持、疼痛と筋攣縮の軽減。捻転(回旋)転位の整復には向かない
  • 牽引により周囲の筋が緊張して骨折部を支える筋の副子作用(生理的副子)が働く。
  • 直達牽引は鋼線やピンを骨に刺入して直接牽引する方法で、大きな重量をかけられるが感染の危険がある。
  • 牽引中は末梢の循環・知覚・運動、皮膚のかぶれや圧迫(特に腓骨頭部の腓骨神経麻痺)を定期的に確認する。
比較表
項目介達牽引直達牽引
力の伝え方皮膚を介して間接的鋼線・ピンで骨に直接
侵襲非観血的観血的
牽引重量小さい大きい
主な目的短縮転位の是正、整復位保持、疼痛軽減強い牽引力が必要な転位の整復・保持
捻転転位の整復適さない対応しやすい
主な合併症皮膚障害、末梢神経麻痺刺入部感染、骨髄炎
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