学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ24A021

理由で解く 柔道整復師

QJ24A021 必修問題

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問21
問題
脱臼の施術で正しいのはどれか。
選択肢
1 早期に整復を行う必要がある。
2 陳旧性脱臼は持続牽引が有効である。
3 若年者では軽度の転位残存が許容される。
4 発生機序と同方向の力を加えて整復する。
解答
正解1(早期に整復を行う必要がある。)
解説

脱臼の整復は「早いほどやさしい」。時間が経つほど筋の攣縮と組織の器質化で整復路がふさがれるため、新鮮脱臼は早期整復が原則です。

脱臼した直後は、関節周囲の筋がまだ完全には攣縮しておらず、関節包の裂け目(脱臼路)も開いたままなので、比較的小さな力で骨頭をもとの道すじに戻せます。ところが数時間から数日たつと、疼痛による反射性の筋攣縮が強まり、関節内の血腫や関節包の裂け目が器質化して整復路をふさぎます。さらに骨頭が関節外にとどまり続けると、関節軟骨は滑液からの栄養を受けられずに変性し、神経・血管の圧迫が長引けば麻痺や循環障害を残します。整復は脱臼が起こった経路を逆にたどるのが原則で、関節面が完全に適合するまで戻します。

✓ 1. 正しい
早期に整復を行う必要がある。
筋攣縮・血腫の器質化が起こる前であれば少ない力で整復でき、関節軟骨の変性や神経・血管障害も避けられます。柔道整復師が行える脱臼の整復は応急手当としての範囲であり、整復・固定のあとは速やかに医師の診察につなぎます。
✗ 2. 誤り
陳旧性脱臼は持続牽引が有効である。
陳旧性(おおむね受傷後3週以上)では関節包周囲が瘢痕化・癒着し、空になった関節窩が線維組織や肉芽で埋まっているため、牽引を続けても骨頭が戻る場所がありません。無理な牽引は神経・血管損傷や骨折を招きます。この段階では医師に紹介し、観血的整復を含めた方針決定を仰ぎます。
✗ 3. 誤り
若年者では軽度の転位残存が許容される。
転位の自家矯正が期待できるのは、成長軟骨をもつ小児の「骨折」の話であり、しかも回旋転位は矯正されません。脱臼は関節面の適合が不十分だと再脱臼や変形性関節症の原因になるため、年齢にかかわらず完全整復を目標にします。
✗ 4. 誤り
発生機序と同方向の力を加えて整復する。
整復は発生機序と逆の順序、すなわち脱臼路の逆行が原則です。同方向に力を加えると骨頭をさらに関節外へ押し進め、関節包や血管・神経の損傷を広げます。問診と視診で外力の方向を把握し、その逆をたどるように誘導します。
ポイント
  • 新鮮脱臼は早期整復が原則。時間経過とともに筋攣縮と器質化で整復が難しくなる。
  • 整復は「脱臼路の逆行」。発生機序と逆方向へ導く。
  • 脱臼に自家矯正はない。完全整復を目指す(自家矯正は小児骨折の概念)。
  • 陳旧性脱臼は徒手整復の適応から外れやすく、医師へ紹介して観血療法を含め検討する。
  • 整復後は固定と医師の診察へ。柔道整復師の脱臼施術は応急手当を除き医師の同意が必要。
比較表
項目新鮮脱臼陳旧性脱臼
時期の目安受傷直後〜数日おおむね3週以上経過
局所の状態筋攣縮・腫脹・血腫が主体瘢痕化と癒着、関節窩が線維組織で充填
徒手整復可能(早期ほど容易)困難
とるべき対応早期に整復し固定、医師へつなぐ医師に紹介し観血的整復を含め検討
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