
この図の解説
図の左右で、シナプス後細胞に起こる正反対の変化を見比べよう。左(橙)は興奮性ニューロン、右(青)は抑制性ニューロンで、いずれも上段がシナプス前細胞の活動電位、下段がその入力を受けたシナプス後細胞の膜電位変化である。静止電位は−70mV、活動電位が発生する閾値は約−55mVに引かれている。興奮性ニューロンが興奮性神経伝達物質を放出すると、後細胞の膜電位は−70mVより浅く(0mV側へ)動く。これが脱分極性の興奮性シナプス後電位EPSPで、閾値に届けば後細胞に活動電位が生じる。抑制性ニューロンが抑制性神経伝達物質を放出すると、膜電位はむしろ−70mVより深く(−80mV側へ)動く。これが過分極性の抑制性シナプス後電位IPSPで、閾値から遠ざかるため後細胞は発火しにくくなる。左下の図は、1回のEPSPでは閾値に届かなくても、時間的・空間的な加重で複数のEPSPが重なると閾値に達し活動電位が発生することを示す。
学習の要点
- EPSP=脱分極(膜電位が浅くなる=発火に近づく)/IPSP=過分極(膜電位が深くなる=発火から遠ざかる)。図では静止電位−70mV、閾値−55mVが基準線。
- 覚え方のコツ:「興奮=脱分極=プラス側へ、抑制=過分極=マイナス側へ」。EのついたEPSPが興奮(Excitatory)、IのついたIPSPが抑制(Inhibitory)。
- 関連知識:単一のEPSPは小さく閾値に届かないことが多いが、時間的・空間的加重で重なると閾値に達し、シナプス後細胞に活動電位が生じる。
- よくある間違い:過分極を「興奮しやすくなる」と誤解しやすいが、逆。過分極は閾値から遠ざかり抑制的に働く。
- 臨床応用:抑制性伝達物質GABAは中枢神経全般で働き、抗不安薬や抗てんかん薬はGABA系を増強して神経の過剰興奮を抑える。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
抑制性ニューロンが放出する抑制性神経伝達物質は、シナプス後細胞の膜電位を静止電位より深くする。この膜電位変化を( )という。
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答え: 過分極
交感神経節前線維や副交感神経の終末から分泌され、興奮性神経伝達物質として運動神経終末でも働くのは( )である。
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答え: アセチルコリン
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。