学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1066

理由で解く 臨床医学各論

Q1066 神経疾患

出典:鍼灸 第4回(1996) 問題84
問題
症状と原因との組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 腱反射消失 ― 錐体路障害
2 知能障害 ― 大脳皮質萎縮
3 失語症 ― 高次脳機能障害
4 筋萎縮 ― 前角細胞変性
解答
正解1(腱反射消失 ― 錐体路障害)
解説
✓ 1. 誤り
腱反射消失 ― 錐体路障害
腱反射消失は錐体路障害ではなく、下位運動ニューロン障害または末梢神経障害で生じる所見である。錐体路(上位運動ニューロン)障害では、脊髄前角細胞に対する抑制が解除されるため、深部腱反射は亢進し、病的反射(バビンスキー徴候、ホフマン反射など)が陽性となる。また痙性麻痺(筋緊張亢進)を呈する。腱反射が消失するのは、脊髄前角細胞、神経根、末梢神経、神経筋接合部、筋などが障害された場合であり、弛緩性麻痺(筋緊張低下)を伴う。
✗ 2.
知能障害 ― 大脳皮質萎縮
✗ 正しい。大脳皮質は記憶、判断、言語などの高次脳機能を司っており、その萎縮により知能障害(認知症)を呈する。アルツハイマー病では大脳皮質のびまん性萎縮、多数の老人斑、神経原線維変化が認められ、進行性の認知症をきたす。CT・MRI検査でびまん性大脳萎縮がみられる。
✗ 3.
失語症 ― 高次脳機能障害
✗ 正しい。失語症は言語中枢の障害による高次脳機能障害である。左前頭葉のブローカ野(運動性言語中枢)が障害されると運動性失語(言葉が出にくいが理解は良好)、左側頭葉のウェルニッケ野(感覚性言語中枢)が障害されると感覚性失語(流暢に話すが意味不明、理解も障害)を呈する。
✗ 4.
筋萎縮 ― 前角細胞変性
✗ 正しい。脊髄前角細胞は下位運動ニューロンの細胞体が存在する部位であり、その変性により支配筋への神経支配が失われ筋萎縮をきたす。筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ポリオ(急性灰白髄炎)などで前角細胞が障害され、進行性の筋萎縮、筋力低下、筋線維束攣縮(fasciculation)を呈する。
ポイント
  • 錐体路障害では腱反射亢進、下位運動ニューロン障害では腱反射消失という対比を理解する
  • 上位運動ニューロン障害=腱反射亢進・病的反射陽性・痙性麻痺
  • 下位運動ニューロン障害=腱反射減弱・消失・筋萎縮・弛緩性麻痺
  • 重要用語: 錐体路障害, 腱反射亢進, 上位運動ニューロン, 下位運動ニューロン, 病的反射 を正確に理解しておくこと。
比較表
障害部位 腱反射 筋緊張 筋萎縮 病的反射
上位運動ニューロン(錐体路) 亢進 痙性(亢進) なし〜軽度 陽性
下位運動ニューロン(前角細胞) 減弱・消失 弛緩性(低下) 高度 陰性
末梢神経 減弱・消失 弛緩性(低下) あり 陰性
解説画像
鍼灸 第4回(1996) 問題84|症状と原因との組合せで誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第4回(1996) 問題84|症状と原因との組合せで誤っているのはどれか。
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