学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1067

理由で解く 臨床医学各論

Q1067 神経疾患

出典:鍼灸 第5回(1997) 問題84
問題
左大脳半球の脳卒中の症状で誤っているのはどれか。
選択肢
1 対麻痺
2 共同偏視
3 失語
4 半身感覚障害
解答
正解1(対麻痺)
解説
✓ 1. 誤り
対麻痺
対麻痺(paraplegia)は両下肢の麻痺であり、脊髄損傷(胸髄以下の横断性障害)や両側前大脳動脈領域の障害など両側性の病変で生じる症状である。一側の大脳半球の脳卒中では、錐体路が内包を通って対側に交叉するため、対側(右半身)の片麻痺(hemiplegia)が出現する。片麻痺と対麻痺は障害部位が根本的に異なり、対麻痺は一側大脳半球病変では出現しない。
✗ 2.
共同偏視
✗ 正しい。共同偏視(conjugate deviation)は大脳半球の前頭眼野(前頭葉のブロードマン8野)の障害により生じる眼球運動異常である。前頭眼野は対側への随意的な眼球運動を支配しているため、大脳半球の脳卒中では病巣側に両眼が偏位する(「病巣を見つめる」)。左大脳半球病変では左方への共同偏視が特徴的であり、急性期の重要な局在診断所見となる。
✗ 3.
失語
✗ 正しい。約90%以上の人で左大脳半球が言語の優位半球であり、左前頭葉のブローカ野(運動性言語中枢)が障害されると運動性失語(言葉が出にくいが理解は保たれる)、左側頭葉のウェルニッケ野(感覚性言語中枢)が障害されると感覚性失語(流暢だが意味不明の発語、言語理解も障害)を呈する。失語症は左大脳半球の脳卒中における重要な巣症状である。
✗ 4.
半身感覚障害
✗ 正しい。大脳半球の頭頂葉に位置する中心後回(一次体性感覚野)やその伝導路(視床を含む感覚伝導路)が障害されると、対側の半身感覚障害が出現する。左大脳半球病変では右半身の感覚障害(触覚・痛覚・位置覚の低下)がみられ、特に皮質性感覚障害では二点識別覚や立体認知の障害が特徴的となる。
ポイント
  • 対麻痺は両下肢の麻痺で脊髄損傷に特徴的であり、一側大脳半球病変では対側の片麻痺が出現する点を明確に区別する
  • 共同偏視の方向は障害部位により異なり、大脳半球病変では病巣側、橋病変では健側を向く
  • 左大脳半球は約90%以上の人で言語優位半球であり、脳卒中では失語症を合併しやすい
  • 片麻痺・失語・共同偏視・半身感覚障害の組み合わせは左中大脳動脈領域の脳卒中を強く示唆する
  • 重要用語: 対麻痺と片麻痺の鑑別、共同偏視、言語優位半球、巣症状 を正確に理解しておくこと。
比較表
麻痺の種類 障害部位 障害範囲 代表的疾患
片麻痺(hemiplegia) 一側大脳半球・内包 対側の上下肢+顔面 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
対麻痺(paraplegia) 胸髄以下の脊髄 両下肢 脊髄損傷・脊髄腫瘍
四肢麻痺(tetraplegia) 頸髄 四肢 頸髄損傷
単麻痺(monoplegia) 大脳皮質限局・末梢神経 一肢 皮質梗塞・末梢神経障害
解説画像
鍼灸 第5回(1997) 問題84|左大脳半球の脳卒中の症状で誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第5回(1997) 問題84|左大脳半球の脳卒中の症状で誤っているのはどれか。
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