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理由で解く 臨床医学各論

Q0809 整形外科疾患

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題63
問題
肩関節脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 病的脱臼が多い。
2 後方脱臼が多い。
3 腕神経叢麻痺を起こす。
4 関節強直を起こす。
解答
正解3(腕神経叢麻痺を起こす。)
解説
✗ 1. 誤り
病的脱臼が多い。
肩関節脱臼は外傷性脱臼が大部分を占め、病的脱臼(腫瘍や感染による関節破壊に伴うもの)はまれである。転倒時に手をついた際の介達外力や、肩関節の過度な外転・外旋が加わった際の直達外力により生じることが多い。スポーツ外傷としても頻度が高い。
✗ 2. 誤り
後方脱臼が多い。
肩関節脱臼は前方脱臼が約95%を占め、後方脱臼はまれである。前方脱臼では上腕骨頭が前下方に転位し、肩関節の正常な丸みが消失して角ばった外観(肩峰突出)を呈する。上腕は外転・外旋位で弾発性固定される。
✓ 3. 正しい
腕神経叢麻痺を起こす。
肩関節脱臼では脱臼した上腕骨頭により腕神経叢(特に腋窩神経)が牽引・圧迫され、神経麻痺を起こすことがある。腋窩神経麻痺では三角筋の麻痺による肩関節外転障害と、肩外側(レジオメンタリス部)の知覚障害がみられる。また、腋窩動脈の損傷を伴うこともあり、整復前後に必ず神経・血管の評価を行う必要がある。
✗ 4. 誤り
関節強直を起こす。
関節強直は関節包内の骨・軟骨の癒合による運動障害であり、肩関節脱臼の直接的な合併症ではない。肩関節脱臼の合併症としては、腋窩神経麻痺・腋窩動脈損傷・バンカート損傷(関節唇損傷)・ヒルサックス損傷(上腕骨頭の圧迫骨折)・反復性脱臼への移行が重要である。
ポイント
  • 肩関節脱臼は外傷性・前方脱臼(約95%)が圧倒的に多い。後方脱臼やまれである
  • 最も重要な合併症は腋窩神経麻痺であり、三角筋麻痺と肩外側の知覚障害を呈する。腋窩動脈損傷にも注意する
  • 反復性脱臼(習慣性脱臼)に移行しやすく、特に若年者で再脱臼率が高い
  • バンカート損傷(関節唇損傷)とヒルサックス損傷(上腕骨頭の陥凹骨折)は前方脱臼に伴う代表的な骨・軟部組織損傷である
  • 重要用語: 前方脱臼(約95%), 腋窩神経麻痺, 反復性脱臼, バンカート損傷 を正確に理解しておくこと。
比較表
肩関節脱臼の特徴 内容
脱臼方向 前方脱臼が約95%
原因 外傷性が大部分
外観 肩峰突出、弾発性固定
神経合併症 腋窩神経麻痺(三角筋麻痺・肩外側の知覚障害)
血管合併症 腋窩動脈損傷
骨・軟部組織損傷 バンカート損傷、ヒルサックス損傷
経過 反復性脱臼に移行しやすい
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題63|肩関節脱臼で正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題63|肩関節脱臼で正しいのはどれか。
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