学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0547

理由で解く 臨床医学各論

Q0547 代謝・栄養疾患

出典:鍼灸 第17回(2009) 問題78
問題
「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」最近下肢の冷感が出現している。最も優先度の高いスクリーニング検査はどれか。
選択肢
1 心電図
2 頸動脈超音波検査
3 足背動脈拍動の確認
4 両側アキレス腱反射
解答
正解3(足背動脈拍動の確認)
解説
✗ 1. 誤り
心電図
心電図は心臓の電気的活動を評価し、虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の検出に有用であるが、下肢の血行障害を直接評価する検査ではない。糖尿病患者では冠動脈疾患のリスクも高いため心電図検査自体は重要だが、本設問の「下肢冷感」に対するスクリーニングとしては最優先ではない。
✗ 2. 誤り
頸動脈超音波検査
頸動脈超音波検査は頸動脈の内膜中膜複合体厚(IMT)や動脈硬化プラーク、狭窄を評価するもので、脳血管障害のリスク評価に有用である。しかし、下肢の冷感という症状に対して直接的に原因を評価する検査ではなく、優先度は足背動脈拍動の確認より低い。
✓ 3. 正しい
足背動脈拍動の確認
糖尿病患者の下肢冷感は、末梢動脈疾患(PAD)、特に閉塞性動脈硬化症(ASO)を疑う重要な症状である。足背動脈の拍動確認は、特別な機器を必要とせず、ベッドサイドで即座に実施可能な非侵襲的スクリーニング検査として最優先される。拍動減弱・消失があれば下肢動脈の狭窄・閉塞が強く疑われ、ABI(足関節上腕血圧比)測定や血管造影などの精密検査に進む。
✗ 4. 誤り
両側アキレス腱反射
両側アキレス腱反射の検査は糖尿病性末梢神経障害(多発性神経障害)の評価に用いる。足部の振動覚低下やモノフィラメント検査とともに神経障害の有無を確認するものである。神経障害でも冷感を自覚することはあるが、本問では末梢動脈疾患のスクリーニングが優先される。
ポイント
  • 糖尿病は動脈硬化の重要な危険因子であり、大血管障害として閉塞性動脈硬化症(ASO)を合併する。下肢冷感、間欠性跛行、安静時疼痛、壊疽が進行順にみられる(Fontaine分類)。
  • 足背動脈拍動の触知は最も簡便かつ優先度が高い末梢動脈のスクリーニング法である。
  • 糖尿病の大血管障害:脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症(動脈硬化が基盤)。細小血管障害(三大合併症)とは区別して理解する。
  • 重要用語: 末梢動脈疾患(PAD)、閉塞性動脈硬化症(ASO)、足背動脈拍動、ABI、Fontaine分類 を正確に理解しておくこと。
比較表
合併症分類 病態 障害される血管 主な疾患
細小血管障害(三大合併症) 細小血管の基底膜肥厚 毛細血管・細動脈 網膜症、腎症、神経障害
大血管障害 動脈硬化 大動脈・中動脈 脳梗塞、心筋梗塞、ASO
解説画像
鍼灸 第17回(2009) 問題78|「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」最近下肢の冷感が出現している。最も優先度の高いスクリーニング検査はどれか。 解説図
鍼灸 第17回(2009) 問題78|「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」最近下肢の冷感が出現している。最も優先度の高いスクリーニング検査はどれか。
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