学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ F. 認知症性疾患 / Q1145

理由で解く 臨床医学各論

Q1145 神経疾患

出典:鍼灸 第17回(2009) 問題79
問題
「69歳の女性。10年前から高血圧症にて内服加療中。時々右上下肢のしびれを自覚していたが、最近物忘れがひどくなってきた。また、わけもなく泣いたりすることも多い。物忘れが多いわりに判断力は保たれている。」最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 アルツハイマー病
2 脳血管性認知症
3 ピック病
4 プリオン病
解答
正解2(脳血管性認知症)
解説
✗ 1. 誤り
アルツハイマー病
アルツハイマー病は緩徐進行性の記憶障害で始まり、初期から見当識障害や判断力低下がみられる。 本症例のように判断力が比較的保たれる「まだら認知症」のパターンはとらない。高血圧や局所神経症状との関連も乏しい。
✓ 2. 正しい
脳血管性認知症
69歳女性で10年来の高血圧症があり、右上下肢のしびれ(局所神経症状=脳血管障害の反復を示唆)を繰り返している。 物忘れの進行に加え、「わけもなく泣く」という感情失禁がみられ、判断力は比較的保たれている(まだら認知症)。 これらは脳血管性認知症(多発脳梗塞型認知症)の典型的な臨床像である。階段状の悪化や動揺性も特徴となる。
✗ 3. 誤り
ピック病
ピック病(前頭側頭型認知症)は初老期に発病し、人格変化・行動障害が知的障害よりも先行するのが特徴である。 反社会的行動や無欲・無関心を示し、記憶や見当識は初期には比較的保たれる。本症例の感情失禁や高血圧の既往とは合致しない。
✗ 4. 誤り
プリオン病
プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病など)は急速に進行する認知症で、ミオクローヌスや特徴的な脳波所見(周期性同期性放電)を伴う。 数か月の経過で重篤な状態に至り、本症例のような慢性的経過とは異なる。
ポイント
  • 脳血管性認知症の診断の手がかりは「高血圧などの血管危険因子」「局所神経症状」「感情失禁」「まだら認知症(判断力が比較的保持)」「階段状悪化」の組み合わせである。
  • アルツハイマー病との鑑別では、脳血管性認知症は感情失禁や局所神経症状を伴い、判断力が比較的保たれる点が重要である。
  • 脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血の反復により段階的に悪化するため、血管危険因子の管理が予防につながる。
  • 重要用語: 脳血管性認知症, まだら認知症, 感情失禁 を正確に理解しておくこと。
比較表
疾患 発症様式 特徴的症状 判断力
脳血管性認知症 階段状悪化 感情失禁・局所神経症状 比較的保持(まだら認知症)
アルツハイマー病 緩徐進行性 近時記憶障害・見当識障害 早期から低下
ピック病 緩徐進行性 人格変化・脱抑制 初期は比較的保持
プリオン病 急速進行性 ミオクローヌス・脳波異常 急速に低下
解説画像
鍼灸 第17回(2009) 問題79|「69歳の女性。10年前から高血圧症にて内服加療中。時々右上下肢のしびれを自覚していたが、最近物忘れがひどくなってきた。また、わけもなく泣いたりすることも多い。物忘れが多いわりに判断力は保たれている。」最も考えられるのはどれか。 解説図
鍼灸 第17回(2009) 問題79|「69歳の女性。10年前から高血圧症にて内服加療中。時々右上下肢のしびれを自覚していたが、最近物忘れがひどくなってきた。また、わけもなく泣いたりすることも多い。物忘れが多いわりに判断力は保たれている。」最も考えられるのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 臨床医学各論
App Store入手