学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0546

理由で解く 臨床医学各論

Q0546 代謝・栄養疾患

出典:鍼灸 第17回(2009) 問題77
問題
「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」早期糖尿病性腎症を最も示唆するのはどれか。
選択肢
1 クレアチニンクリアランス低下
2 微量アルブミン尿
3 HbA1c高値
4 血尿
解答
正解2(微量アルブミン尿)
解説
✗ 1. 誤り
クレアチニンクリアランス低下
クレアチニンクリアランス(Ccr)低下は糸球体濾過量(GFR)の低下を反映し、腎機能が既にかなり進行した段階(糖尿病性腎症第3期以降)で明らかとなる。早期腎症(第2期)ではCcrはまだ正常範囲であるため、早期検出には不適切である。本症例でも「腎機能は正常」と記載されている点がヒントである。
✓ 2. 正しい
微量アルブミン尿
微量アルブミン尿(30〜300mg/日、またはアルブミン/クレアチニン比30〜300mg/gCr)は、早期糖尿病性腎症(第2期)を検出する最も鋭敏な指標である。通常の尿試験紙法では検出できない微量のアルブミン漏出を、免疫学的方法で定量する。糖尿病患者では年1回以上の微量アルブミン尿スクリーニングが推奨されており、早期発見・早期介入によって腎症進行を抑制できる。
✗ 3. 誤り
HbA1c高値
HbA1cは過去1〜2ヵ月間の平均血糖値を反映する血糖コントロール指標であり、糖尿病の管理状態の評価に用いる。HbA1c高値は腎症の危険因子ではあるが、腎症の病期や進行度を直接示すものではない。腎症の評価には尿中アルブミン排泄量やGFRを用いる。
✗ 4. 誤り
血尿
血尿(赤血球尿)はIgA腎症や急速進行性糸球体腎炎、尿路結石、膀胱腫瘍などでみられる所見である。糖尿病性腎症は糸球体基底膜の肥厚やメサンギウム増殖を主体とする病変であり、糸球体性血尿は通常認めない。糖尿病性腎症の特徴は蛋白尿(アルブミン尿)である。
ポイント
  • 糖尿病性腎症の早期発見には微量アルブミン尿の測定が最も有用であり、年1回以上のスクリーニングが推奨される。
  • 糖尿病性腎症は透析導入原因の第1位であり、早期介入(血糖・血圧管理、RAS阻害薬投与)による進行抑制が極めて重要。
  • 糖尿病性腎症の特徴は蛋白尿であり、血尿ではない。血尿を伴う場合は他の腎疾患の合併を考慮する。
  • 重要用語: 微量アルブミン尿、早期糖尿病性腎症、クレアチニンクリアランス、HbA1c を正確に理解しておくこと。
比較表
病期 尿アルブミン GFR/Ccr 臨床的特徴
第1期(腎症前期) 正常(<30mg/日) 正常〜高値 無症候
第2期(早期腎症) 微量(30〜300mg/日) 正常 微量アルブミン尿が唯一の所見
第3期(顕性腎症) 顕性蛋白尿(>300mg/日) 低下傾向 浮腫、高血圧
第4期(腎不全期) 持続性蛋白尿 著明低下 尿毒症症状
第5期(透析療法期) 著明低下 透析導入
解説画像
鍼灸 第17回(2009) 問題77|「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」早期糖尿病性腎症を最も示唆するのはどれか。 解説図
鍼灸 第17回(2009) 問題77|「60歳の男性。糖尿病発症から15年経過、現在腎機能は正常。収縮期血圧は180mmHg、拡張期血圧は90mmHgである。」早期糖尿病性腎症を最も示唆するのはどれか。
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