学習トップ理由で解く 解剖学第9章 ▸ B. 平衡聴覚器 / Q0735

理由で解く 解剖学

Q0735 感覚器系

出典:鍼灸 第19回(2011) 問題29
問題
平衡感覚器について正しい記述はどれか。
選択肢
1 鼓膜の振動は最初にアブミ骨に伝わる。
2 卵形嚢は前庭にある。
3 蝸牛管内の振動は鼓室階から前庭階へと伝わる。
4 半規管は身体の傾きを感知する。
解答
正解2(卵形嚢は前庭にある。)
解説
✗ 1. 誤り
鼓膜の振動は最初にアブミ骨に伝わる。
鼓膜の振動は最初に「ツチ骨」に伝わる。ツチ骨柄が鼓膜内面に付着しており、振動はツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨の順に耳小骨連鎖を伝わり、最後にアブミ骨底が前庭窓を介して内耳の外リンパへ伝達される。
✓ 2. 正しい
卵形嚢は前庭にある。
前庭は内耳骨迷路の中央部で、内部に膜迷路の卵形嚢と球形嚢の2つの袋がある。両袋の内面の平衡斑が直線加速度(卵形嚢=水平、球形嚢=垂直)と頭の傾きを感受する。前庭の解剖学的位置は前方の蝸牛と後方の半規管の玄関口(vestibulum)にあたり、側壁の前庭窓にアブミ骨底がはまり、聴覚伝導路の中継点も担う。卵形嚢が前庭にあるという解剖学的事実は内耳構造の基本中の基本であり、本選択肢が正解。卵形嚢・球形嚢ともに平衡斑(耳石器)をもち、直線加速度・重力情報を前庭神経を介して中枢に伝える役割を担う。
✗ 3. 誤り
蝸牛管内の振動は鼓室階から前庭階へと伝わる。
蝸牛内の振動の流れは「前庭階→蝸牛頂で折り返し→鼓室階」が正しく、逆ではない。アブミ骨底からの振動は前庭窓→前庭階を昇り蝸牛孔で鼓室階へ移って下行し蝸牛窓で消失する。
✗ 4. 誤り
半規管は身体の傾きを感知する。
半規管が感知するのは身体の「回転加速度(角加速度)」であって、傾きではない。傾きや直線加速度を感知するのは前庭の平衡斑(卵形嚢・球形嚢)である。
ポイント
  • 前庭には卵形嚢・球形嚢の2袋があり、平衡斑が直線加速度を、半規管の膨大部稜が回転加速度を担当する分業体制で平衡覚を成立させる。
  • 覚え方のコツ: 「振動順=鼓膜→ツチ→キヌタ→アブミ→前庭窓」「振動経路=前庭階→蝸牛頂→鼓室階→蝸牛窓」と順序立てて流れで覚える。
  • 関連知識: 卵形嚢の平衡斑は水平面(utricular macula)、球形嚢の平衡斑は矢状面(saccular macula)に配置される。両袋を結ぶ卵形球形嚢管・内リンパ管は内リンパ嚢へ通じる。
  • よくある間違い: 「鼓膜→アブミ骨」と直接つなげるミスや、半規管を「傾き感知」と覚える誤解が頻発。耳小骨の順序と、半規管=回転/前庭=傾きの2点を厳密に。
  • 臨床応用: 耳石が剥離して半規管に迷入するBPPV(良性発作性頭位めまい症)は、後半規管型が最多。Dix-Hallpike法で誘発、Epley法で耳石を卵形嚢に再配置する。
比較表
平衡覚器 感受する刺激 構造
卵形嚢の平衡斑 水平加速度・頭部傾き 耳石(炭酸カルシウム)+有毛細胞
球形嚢の平衡斑 垂直加速度・重力 耳石+有毛細胞
半規管の膨大部稜 回転加速度(角加速度) クプラ+有毛細胞
解説画像
鍼灸 第19回(2011) 問題29|平衡感覚器について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第19回(2011) 問題29|平衡感覚器について正しい記述はどれか。
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