学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P120

理由で解く 柔道整復師

QJ34P120 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問120
問題
25歳の男性。サッカーの練習中、ダッシュした際に左下腿内側に「ブチッ」という音とともに強い痛みを自覚したため直ちに来所した。患部に腫脹と圧痛がみられ、疼痛のためつま先立ちが不能である。来所時の対応で正しいのはどれか。
選択肢
1 温熱モードの超音波療法を行う。
2 他動的に軽度足関節を動かす。
3 患部を冷却し、圧迫と挙上を行う。
4 患部に低周波通電療法を行う。
解答
正解3(患部を冷却し、圧迫と挙上を行う。)
解説

ダッシュ時の「ブチッ」という音と下腿内側の痛み――腓腹筋内側頭の肉ばなれ(いわゆるテニスレッグ)です。受傷直後の対応は、冷却・圧迫・挙上に安静を加えた急性期処置になります。

肉ばなれの直後は、断裂した筋線維から出血と浮腫が広がり、これが痛みの増悪、治癒の遅れ、瘢痕形成の原因になります。そこで受傷直後は、冷却によって血管を収縮させて出血と炎症を抑え、弾性包帯などで圧迫して腫脹の広がりを抑え、患肢を心臓より高く挙上して静脈還流を助けます。あわせて足関節を軽度底屈位に保ち、下腿三頭筋を弛緩させて断端を近づけた状態で安静を保ちます。なお、つま先立ちができないという所見はアキレス腱断裂でも生じるため、腱の連続性(陥凹の有無、トンプソンテスト)を必ず確認して鑑別してから方針を決めます。

✓ 3. 正しい
患部を冷却し、圧迫と挙上を行う。
出血と腫脹を最小限に抑える急性期の基本処置です。これに安静(足関節軽度底屈位での固定、必要なら松葉杖による免荷)を加えて完成します。おおむね受傷後48〜72時間はこの方針を続け、以後は痛みの出ない範囲で可動域と荷重を段階的に進めます。
✗ 1. 誤り
温熱モードの超音波療法を行う。
温熱は血管を拡張させ、受傷直後の出血と腫脹を助長します。急性期に超音波を用いる場合は非温熱(低出力パルス)モードを選び、温熱の適応は炎症が落ち着いた回復期以降とします。
✗ 2. 誤り
他動的に軽度足関節を動かす。
足関節の背屈方向の動きは腓腹筋を伸張し、損傷部を引き離して再出血を招きます。急性期は軽度底屈位で安静を保ち、可動域訓練は疼痛と腫脹が落ち着いてから、痛みの出ない範囲で始めます。
✗ 4. 誤り
患部に低周波通電療法を行う。
通電で筋収縮を起こすと損傷部に張力がかかり、出血と疼痛を強めます。電気刺激を用いるのは、腫脹が引いて筋の再教育や萎縮予防が必要になる時期からです。
ポイント
  • 腓腹筋内側頭の肉ばなれ=テニスレッグ。ダッシュや踏み込みの蹴り出し動作で好発する。
  • 急性期はRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)。近年はPOLICE(適切な負荷)の考え方も併せて押さえる。
  • 固定は足関節軽度底屈位。下腿三頭筋を弛緩させて断端を近づける。
  • 急性期に避けるのは温熱・伸張・筋収縮を誘発する刺激。いずれも回復期に切り替えて用いる。
  • つま先立ち不能はアキレス腱断裂と共通の所見。陥凹の触知とトンプソンテストで必ず鑑別する。
比較表
急性期(受傷〜48〜72時間)回復期(腫脹軽減後)
物理療法冷却、非温熱(パルス)超音波温熱、温熱モード超音波
圧迫・挙上行う腫脹に応じて継続
関節運動底屈位で安静、伸張は行わない疼痛のない範囲で自動運動から開始
電気刺激筋収縮を誘発する通電は控える筋の再教育・萎縮予防に用いる
荷重免荷または部分荷重段階的に全荷重へ
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