学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P121

理由で解く 柔道整復師

QJ34P121 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問121
問題
16歳の女子。サッカー部に所属している。昨日の練習試合で右足関節をひねった。しばらくして歩行が可能となったため帰宅したが、今朝も痛みが引かないため来所した。右腓骨外果前方に腫脹と底背屈痛がみられ、前方動揺性テストは陽性である。足関節 0度での疼痛や不安定性はなく、外果に圧痛はみられない。固定や指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 固定範囲に膝関節を含める。
2 固定肢位は外反位とする。
3 免荷歩行を指導する。
4 次回の来所は2週後と指導する。
解答
正解2(固定肢位は外反位とする。)、3(免荷歩行を指導する。)
解説

外果前方(前距腓靱帯部)の腫脹と圧痛、前方引き出しテスト陽性、しかし足関節0度では疼痛も不安定性もなく、外果に骨性の圧痛もない――前距腓靱帯損傷です。固定は軽度外反位とし、急性期は免荷歩行を指導します。

前距腓靱帯は足関節が底屈するほど緊張し、底屈・内転(内がえし)強制で最も損傷しやすい外側靱帯です。前方引き出しテストが陽性である一方、足関節を0度(中間位)にすると疼痛も不安定性も出ないという所見は、0度で緊張する踵腓靱帯が温存され、損傷が前距腓靱帯にとどまることを示します。外果に圧痛がないことは腓骨遠位端骨折の可能性が低いことを支えます。固定は損傷した靱帯を弛緩させる肢位、すなわち足関節を0度〜軽度背屈・軽度外反位に保ち、範囲は下腿近位1/3から足趾のつけ根までとします。腫脹が強い急性期は免荷とし、腫脹の推移と固定の適合を確認するため早期の再来を指示します。

✓ 2. 正しい
固定肢位は外反位とする。
前距腓靱帯は内がえしで伸張されます。軽度外反(外がえし)位に保つことで靱帯の緊張が抜け、断裂端が近づきます。あわせて足関節を0度〜軽度背屈にとり、靱帯が緊張する底屈位を避けます。
✓ 3. 正しい
免荷歩行を指導する。
受傷翌日で腫脹が強く前方動揺性もあるため、急性期は松葉杖などで患肢を免荷し、腫脹の増悪と靱帯へのストレスを防ぎます。疼痛と腫脹の改善に合わせて部分荷重から全荷重へ段階的に進めます。
✗ 1. 誤り
固定範囲に膝関節を含める。
足関節の固定は下腿近位1/3から足趾のつけ根までで足ります。膝を含めると不要な関節拘縮や大腿四頭筋の萎縮を招き、日常生活も大きく制限されます。固定範囲は損傷部を制動できる最小限にとどめます。なおアキレス腱断裂の初期固定では、腓腹筋が二関節筋であるため膝を含めますが、足関節外側靱帯の損傷では膝の肢位が損傷部の緊張に影響しないため、含める必要がありません。
✗ 4. 誤り
次回の来所は2週後と指導する。
受傷直後は腫脹が増減し、固定が緩んだりきつくなったりする時期です。翌日から数日以内に再来してもらい、腫脹・循環障害の有無・固定の適合を確認します。あわせて骨折を疑う所見が出ていないかも再評価します。
ポイント
  • 前距腓靱帯は底屈位で緊張。底屈・内転(内がえし)強制で最も損傷しやすい。
  • 前方引き出しテスト陽性+足関節0度で不安定性なし=前距腓靱帯の単独損傷(踵腓靱帯は温存)。
  • 固定肢位は損傷靱帯を弛緩させる方向=軽度外反位・足関節0度〜軽度背屈位。
  • 固定範囲は下腿近位1/3〜足趾のつけ根。膝関節は含めない(膝の肢位が損傷部の緊張に影響しないため)。アキレス腱断裂では二関節筋の腓腹筋が関わるので膝を含める、と対比して覚える。
  • 急性期は免荷、そして早期の再検。腫脹の変化に合わせて固定を調整する。外果に骨性圧痛があれば骨折を疑い画像診断へ。
比較表
靱帯緊張する肢位損傷機転陽性となるテスト圧痛部位
前距腓靱帯底屈位底屈+内転(内がえし)前方引き出しテスト(底屈位)外果前方
踵腓靱帯背屈位・0度中間位〜背屈での内反(内がえし)強制内反動揺性テスト(0度)外果下方
後距腓靱帯背屈位単独損傷はまれ特異的なものはない外果後方
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