学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P119

理由で解く 柔道整復師

QJ34P119 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問119
問題
40歳の男性。バドミントンでジャンプして着地した際、右下腿部に棒で殴られたような衝撃を感じプレー続行不能となった。術者が左手で下腿部を把持した状態の写真(別冊 No.5)を別に示す。初期の固定肢位で正しいのはどれか。
図
選択肢
1 膝関節伸展位・足関節背屈位
2 膝関節伸展位・足関節底屈位
3 膝関節軽度屈曲位・足関節背屈位
4 膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位
解答
正解4(膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位)
解説

受傷機転と部位からアキレス腱断裂が考えられ、初期は断端を近づけるために膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位で固定する。正解は4。

ジャンプの着地時に下腿後面へ「棒で殴られた」ような衝撃が走り、そのまま続行不能になるのはアキレス腱断裂の典型的な訴えである。設問の写真は術者が下腿部を把持した場面で、下腿三頭筋を握って足関節の底屈が起こるかをみる検査(トンプソンテスト)にあたると考えられる。固定肢位を決める原則は「損傷した組織の起始と停止を近づける」ことである。アキレス腱に緊張を与えているのは下腿三頭筋で、そのうち腓腹筋は大腿骨顆部から起こる二関節筋なので膝を屈曲させると緩み、ヒラメ筋を含む全体は足関節を底屈させると緩む。したがって膝軽度屈曲位・足関節底屈(尖足)位が断端間距離を最も小さくする肢位となる。以後は経過に応じて底屈角度を段階的に減らしていく。手術か保存かの判断が必要なので、初期固定を施したうえで速やかに医療機関へつなぐ。

✓ 4. 正しい
膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位
膝屈曲で二関節筋である腓腹筋が緩み、足関節底屈で下腿三頭筋全体とアキレス腱が緩む。両方を組み合わせることで断端間距離が最も小さくなり、修復に有利な条件が整う。
✗ 1. 誤り
膝関節伸展位・足関節背屈位
膝伸展で腓腹筋が伸ばされ、足関節背屈でアキレス腱がさらに引かれる。断端が最も離れる組合せで、初期固定としては最も避けるべき肢位である。
✗ 2. 誤り
膝関節伸展位・足関節底屈位
足関節底屈によって緩む分はあるが、膝伸展位のままでは腓腹筋の起始側が引かれた状態が残り、断端を近づける効果が不十分となる。
✗ 3. 誤り
膝関節軽度屈曲位・足関節背屈位
膝軽度屈曲は方向として正しいが、足関節背屈はアキレス腱を伸張して断端を離してしまう。初期固定には適さない。
ポイント
  • アキレス腱断裂の訴え:「後ろから蹴られた」「棒で殴られた」ような衝撃、断裂音、続行不能、つま先立ち不能
  • 所見:腱の連続性が途切れる陥凹を触知、トンプソンテスト陽性(下腿三頭筋を握っても足関節の底屈が起こらない)
  • 固定肢位の原則は「起始と停止を近づける」。腓腹筋は二関節筋なので膝屈曲でも緩む
  • 初期は膝軽度屈曲位・足関節底屈(尖足)位。以後、底屈角度を段階的に減らして背屈へ移行する
  • 手術か保存かの方針決定のため医療機関へ紹介する。固定中は足趾の自動運動を促し、血栓と拘縮の予防を図る
比較表
肢位腓腹筋(二関節筋)ヒラメ筋・アキレス腱断端間の距離
膝伸展位・足背屈位最も伸張される最も緊張する最も離れる(不適)
膝伸展位・足底屈位起始側が引かれたまま緩むやや離れる
膝軽度屈曲位・足背屈位起始側は緩む緊張する離れる(不適)
膝軽度屈曲位・足底屈位緩む緩む最も近づく(適)
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