学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P118

理由で解く 柔道整復師

QJ34P118 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問118
問題
16歳の男子。6歳からサッカーをしている。1か月前から右膝外側の疼痛を自覚するようになった。しばらく様子をみていたが、症状が継続するため来所した。膝関節の腫れはみられない。考えられないのはどれか。
選択肢
1 鵞足炎
2 ランナー膝
3 円板状半月
4 滑膜ヒダ障害
解答
正解1(鵞足炎)
解説

訴えは「右膝外側」の痛みです。鵞足は脛骨近位の内側にあり、鵞足炎なら痛みは膝の内側に出ます。したがって外側痛の原因としては挙がりません。

膝の痛みは、部位で候補を絞るのが最も速い方法です。外側なら腸脛靱帯炎(ランナー膝)、円板状半月、大腿二頭筋腱付着部障害など。内側なら鵞足炎、内側半月板損傷、内側側副靱帯損傷、内側膝蓋滑膜ヒダ障害(タナ障害)。前面なら膝蓋腱炎、オスグッド・シュラッター病、膝蓋大腿関節障害が代表です。本例は6歳から続くサッカーという長期の使いすぎが背景にあり、膝関節の腫れがないことから、関節血腫や関節液貯留を伴う急性外傷ではなく慢性のスポーツ障害を考える流れになります。「部位」と「急性か慢性か」の2軸で候補を並べ、その中で部位が明らかに合わないものを外す、という手順で解きます。ここで大切なのは「頻度が低い」と「解剖学的にありえない」を区別することです。消去法で切ってよいのは後者であり、鵞足炎は停止部が内側にある以上、外側痛を解剖学的に説明できないという後者にあたります。

✓ 1. これが答え(考えられない)
鵞足炎
鵞足は縫工筋・薄筋・半腱様筋の腱が脛骨近位内側に集まって停止する部位です。ここに炎症が起きれば圧痛と痛みは膝の内側下方に出ます。解剖学的に外側の痛みを説明できないため、本例の候補からは外れます。もし内側下方に圧痛があるなら、ハムストリングス・内転筋のストレッチと練習量の調整を指導します。
✗ 2. 考えられる(答えではない)
ランナー膝
腸脛靱帯が大腿骨外側上顆の上を繰り返し滑ることで生じる腸脛靱帯炎です。膝外側の痛みの代表で、ランニングやサッカーなど反復動作で発症します。グラスピングテストやオーバーテストで評価します。
✗ 3. 考えられる(答えではない)
円板状半月
外側半月板に生じる先天的な形態異常で、厚く幅広い半月板が挟まれて外側の痛み、クリック、引っかかりを生じます。若年から症状が出る点も本例と矛盾しません。
✗ 4. 考えられる(答えではない)
滑膜ヒダ障害
滑膜ヒダ障害の大多数は内側膝蓋滑膜ヒダによるいわゆるタナ障害で、外側型は実際にはまれです。ただし滑膜ヒダは外側にも存在しうるため、頻度が低いことを理由に順位を下げることはできても、部位だけを根拠に完全に否定することはできません。鵞足炎のように「解剖学的に必ず内側にしか症状が出ない」とは言い切れないため、消去法では最後まで残ります。外側膝痛の鑑別としてはまず腸脛靱帯炎と円板状半月を考え、それらが否定されたときに検討する位置づけです。
ポイント
  • 膝痛はまず部位で切る。外側の代表は腸脛靱帯炎(ランナー膝)と円板状半月。
  • 鵞足(縫工筋・薄筋・半腱様筋の停止部)は脛骨近位内側。鵞足炎は解剖学的に内側の痛みしか生じない。
  • 滑膜ヒダ障害の大多数は内側膝蓋滑膜ヒダによるタナ障害。外側型はまれだが、存在しうる以上「部位だけを根拠に完全否定」はできない。
  • 消去法で切ってよいのは「頻度が低い」ものではなく「解剖学的にありえない」もの。この線引きが本問の要点。
  • 腫れがない=関節血腫や関節液貯留を伴う急性外傷ではなく、使いすぎによる障害を考える。
  • 円板状半月はクリックや引っかかりを伴い、若年のうちから症状が出やすい。
  • 長期のスポーツ歴+慢性経過では、練習量やフォームの見直し、下肢アライメントの評価まで踏み込む。
比較表
痛みの部位代表的なスポーツ障害主な所見
膝外側腸脛靱帯炎(ランナー膝)大腿骨外側上顆部の圧痛、グラスピングテスト陽性
膝外側円板状半月外側関節裂隙の圧痛、クリック、引っかかり
膝内側が大多数(外側型はまれ)滑膜ヒダ障害大多数は内側膝蓋滑膜ヒダによるタナ障害。ヒダの索状物を触知、屈伸時の弾発
膝内側鵞足炎脛骨近位内側の圧痛、屈曲抵抗時痛(外側には生じない)
膝前面膝蓋腱炎、オスグッド・シュラッター病膝蓋腱・脛骨粗面の圧痛
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