学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P112

理由で解く 柔道整復師

QJ34P112 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問112
問題
30歳の男性。野球の素振りで胸に痛みを自覚したため来所した。痛みは体幹の側屈や回旋で再現され、深呼吸や咳で増悪する。視診で明らかな腫脹はない。圧痛は右側胸部の第7・8肋間に限局する。考えられるのはどれか。
選択肢
1 広背筋損傷
2 肋間筋損傷
3 肋骨骨折
4 腰椎横突起骨折
解答
正解2(肋間筋損傷)
解説

圧痛が肋骨の上ではなく第7・8肋間に限局し、体幹の側屈・回旋で痛みが再現される点から、肋間筋損傷が最も考えられる。正解は2。

素振りのように胸に直達外力が加わっていない場面で、体幹を急に回旋・側屈させて痛みが出たときは、まず胸郭の筋の損傷を考える。肋間筋は肋骨と肋骨の間を走り、外肋間筋は前下方へ、内肋間筋は後下方へ走って呼吸運動と体幹の回旋に関与するため、深呼吸や咳、体幹のひねりで伸張・収縮ストレスがかかり痛みが誘発される。本例で圧痛が「肋間」に限局していること、視診で腫脹がないことは、骨そのものよりも肋間の軟部組織の損傷を示唆する。ただし初期の肋骨骨折は所見に乏しいこともあるため、患部から離れた位置で胸郭を前後・側方から圧迫する介達痛の有無を確かめ、陽性なら画像評価のため医療機関を勧める。対応としては安静と胸郭の動きを抑える固定、痛みに合わせた呼吸指導を行い、経過を再評価する。

✓ 2. 正しい
肋間筋損傷
直達外力のない急な体幹回旋で発生し、圧痛は肋骨上ではなく肋間に限局する。呼吸と体幹運動の両方に働く筋なので、深呼吸・咳・側屈・回旋で痛みが再現される本例の所見とよく一致する。
✗ 1. 誤り
広背筋損傷
広背筋は下位胸椎〜腰椎・腸骨稜・下位肋骨から起こり上腕骨小結節稜に停止する。痛みは背部から腋窩後壁に出て肩関節の伸展・内転・内旋で誘発されるため、側胸部第7・8肋間に限局する圧痛の説明にならない。
✗ 3. 誤り
肋骨骨折
骨折であれば肋骨そのものの上に限局性の圧痛が出て、離れた部位から胸郭を圧迫する介達痛が陽性になりやすい。本例は圧痛が肋間に限局しており合わない。ただし初期は所見が乏しいこともあるため、介達痛の確認と、痛みが強い場合の受診勧奨は併せて行う。
✗ 4. 誤り
腰椎横突起骨折
腰部の筋の急激な収縮などで生じる骨折で、圧痛は腰部の脊柱起立筋外側に出る。体幹回旋で痛むという点は共通するが、側胸部の肋間に限局する圧痛とは部位が異なる。
ポイント
  • 圧痛が「肋骨の上」か「肋間」かで、骨の損傷と筋の損傷を切り分ける
  • 介達痛(患部から離して胸郭を前後・側方から圧迫し患部が痛む)は肋骨骨折を強く示唆する。陰性でも初期は否定しきれない
  • 深呼吸・咳での増悪は骨折でも筋損傷でも起こる。鑑別の決め手にはならない
  • 肋間筋損傷への対応は安静、胸郭の動きを抑える固定(絆創膏固定やバストバンド等)、痛みに応じた呼吸指導と再評価
  • 呼吸困難、皮下気腫、痛みの急な増悪があれば気胸などの合併を疑い、直ちに医療機関へつなぐ
比較表
疾患圧痛の部位誘発される動作介達痛
肋間筋損傷肋間に限局体幹側屈・回旋、深呼吸、咳陰性のことが多い
肋骨骨折肋骨そのものの上に限局深呼吸、咳、体幹運動陽性になりやすい
広背筋損傷背部〜腋窩後壁肩関節の伸展・内転・内旋
腰椎横突起骨折腰部脊柱起立筋の外側体幹の回旋・側屈
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