学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P110

理由で解く 柔道整復師

QJ34P110 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問110
問題
20歳の女性。立ち上がろうとした際に右足を外側に滑らせ、右膝に痛みを自覚したため来所した。関節腫脹が著明で、膝蓋骨内縁に圧痛がみられる。引き出し徴候および側方動揺性テストは陰性で、全身性弛緩テストは7点中4点である。考えられるのはどれか。
選択肢
1 膝蓋骨脱臼
2 前十字靱帯損傷
3 内側半月板損傷
4 内側側副靱帯損傷
解答
正解1(膝蓋骨脱臼)
解説

足を外側に滑らせた際の膝外反・下腿外旋、関節血症を思わせる著明な腫脹、膝蓋骨内縁の圧痛、そして全身関節弛緩性の高さ。自然整復された膝蓋骨脱臼(外側脱臼)を考えます。

足を外側に滑らせると、足部が固定されないまま大腿は内旋し下腿は相対的に外旋、膝は外反位になります。この肢位で大腿四頭筋が強く働くと膝蓋骨は外側へ引かれ、内側支帯(内側膝蓋大腿靱帯)を破って外側へ脱臼します。多くは膝を伸ばした時点で自然に整復されるため、来所時には脱臼所見はなく、関節血症による著明な腫脹と、破れた内側支帯の部位=膝蓋骨内縁の圧痛だけが残ります。若年女性、全身関節弛緩性が高いこと(7点中4点は陽性)は膝蓋骨脱臼の素因です。引き出し徴候陰性は前十字靱帯損傷を、側方動揺性テスト陰性は側副靱帯損傷を否定する材料になります。再脱臼しやすいので、固定と内側広筋を中心とした筋力強化を行い、骨軟骨骨折の有無を医療機関で確認してもらいます。

✓ 1. 正しい
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨内縁の圧痛は、脱臼時に破れた内側支帯・内側膝蓋大腿靱帯の損傷部位そのものです。外反・外旋の機転、関節血症を示す著明な腫脹、関節弛緩性という素因がすべて揃い、自然整復された外側脱臼として矛盾なく説明できます。
✗ 2. 誤り
前十字靱帯損傷
関節血症をきたす点は共通しますが、前方引き出し徴候(およびラックマンテスト)が陽性となるはずです。本症例では引き出し徴候が陰性であり、合致しません。
✗ 3. 誤り
内側半月板損傷
圧痛は膝蓋骨の内縁ではなく、内側の関節裂隙に出ます。マックマレーテスト陽性、ロッキング、屈伸時のクリックなどが手がかりとなり、本症例の圧痛部位とは一致しません。
✗ 4. 誤り
内側側副靱帯損傷
外反ストレス(側方動揺性テスト)で疼痛や不安定性が出るのが特徴ですが、本症例では陰性です。圧痛部位も大腿骨内側上顆から内側関節裂隙にかけてで、膝蓋骨内縁ではありません。
ポイント
  • 膝蓋骨脱臼はほぼ外側脱臼。膝外反+下腿外旋位での大腿四頭筋収縮で発生。
  • 多くは膝伸展時に自然整復され、来所時は脱臼所見がない。
  • 決め手は膝蓋骨内縁の圧痛(内側支帯・内側膝蓋大腿靱帯の損傷部)+関節血症。
  • 素因:若年女性、全身関節弛緩性、外反膝、膝蓋骨高位、大腿骨滑車形成不全。
  • 引き出し徴候陰性=前十字靱帯、側方動揺陰性=側副靱帯を否定する材料になる。
比較表
疾患圧痛の主部位特異的検査関節血症
膝蓋骨脱臼(自然整復)膝蓋骨内縁膝蓋骨アプリヘンジョンサインあり
前十字靱帯損傷特定しにくい前方引き出し・ラックマンあり
内側半月板損傷内側関節裂隙マックマレー・アプレー辺縁部(red zone)損傷ならあり/中央部では乏しい
内側側副靱帯損傷大腿骨内側上顆〜内側裂隙外反ストレス(側方動揺)単独では乏しい
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