学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P109

理由で解く 柔道整復師

QJ34P109 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問109
問題
4歳の男児。買い物中、母親に手を引っ張られた際に受傷した。肘を動かすと肘の外側に疼痛が生じ、痛みが改善しないため来所した。前腕は回内位、肘関節は軽度屈曲位にある。正しいのはどれか。
選択肢
1 局所に腫脹が生じる。
2 腕橈関節の亜脱臼である。
3 肘関節は前腕回内位で固定する。
4 再発が多い。
解答
正解4(再発が多い。)
解説

手を引っ張られて発症し、前腕回内・肘軽度屈曲位のまま外側に痛みを訴える、典型的な肘内障です。整復そのものは容易ですが、幼児期は同じ機転で何度でも繰り返すため「再発が多い」が正しい記述になります。

肘内障は2〜4歳ごろに好発します。前腕回内位で長軸方向に牽引されると、輪状靱帯が橈骨頭を越えて腕橈関節の間に滑り込み、挟まった状態になります。関節包内の変化にとどまるため、腫脹・発赤・熱感といった外見上の変化は乏しく、患児は上肢をだらりと下げ、前腕回内・肘軽度屈曲位のまま動かそうとしません。輪状靱帯や関節包が幼児期に緩く、橈骨頭がまだ十分に発達していないことが背景にあるため、同じ動作で繰り返し発生します。逆に言えば、成長して靱帯が発達する5〜6歳ごろには自然に起こらなくなります。

✓ 4. 正しい
再発が多い。
輪状靱帯や関節包が緩い幼児期特有の病態なので、同じ牽引で繰り返します。整復して終わりにせず、保護者に「手を引っ張り上げない」「抱き上げるときは体幹や脇の下を支える」と具体的に伝えることが治療の一部です。5〜6歳ごろまでに自然に起こらなくなることも併せて説明すると、保護者の不安が軽くなります。
✗ 1. 誤り
局所に腫脹が生じる。
肘内障では腫脹・熱感・皮下出血をみないのが原則です。明らかな腫脹があれば上腕骨顆上骨折や橈骨頚部骨折など骨損傷を疑い、画像診断ができる医療機関へ紹介します。腫脹の有無は鑑別の入り口として毎回確認します。
✗ 2. 誤り
腕橈関節の亜脱臼である。
病態の主座は橈骨頭と輪状靱帯の位置関係にあり、橈骨頭が輪状靱帯から逸脱して、靱帯が腕橈関節の間に滑り込み挟まった状態です。関節面そのものの適合は保たれるため、X線を撮っても異常を認めません。腕橈関節が亜脱臼位にずれたものとは捉えません。
✗ 3. 誤り
肘関節は前腕回内位で固定する。
回内位は受傷時の肢位そのもので、輪状靱帯が外れやすい方向です。整復後は疼痛が消えて上肢を自由に使えるようになれば固定は原則不要。疼痛が残る場合や反復例では、前腕回外・肘屈曲位で三角巾などにより短期間保持します。
ポイント
  • 好発は2〜4歳。機転は前腕回内位での長軸方向の牽引。
  • 腫脹・熱感なし、上肢を下垂して回内・軽度屈曲位のまま動かさないのが典型像。
  • 整復は回外法または回内(過回内)法。整復音を触知し、直後から上肢を挙上・使用できれば成功。
  • 整復後の固定は原則不要。必要なら回外・屈曲位で短期間にとどめる。
  • 再発が多いため、保護者への予防指導まで行う。腫脹があれば骨折を疑い紹介する。
比較表
肘内障上腕骨顆上骨折橈骨頚部骨折
好発年齢2〜4歳5〜8歳学童期
受傷機転前腕回内位での牽引肘伸展位での転倒肘外反強制・転倒
腫脹・皮下出血みられない著明あり(外側)
変形なしあり(高度転位例)軽度
X線異常なし骨折線あり骨折線あり
対応徒手整復直ちに医療機関へ紹介医療機関へ紹介
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