学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ34P107

理由で解く 柔道整復師

QJ34P107 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問107
問題
14歳の女子。バレーボール部。1週前からジャンプの着地の際に右下腿に痛みを自覚し来所した。右下腿前部中央に限局した腫脹と圧痛がみられる。整形外科を紹介し、単純エックス線検査を行ったが明瞭な陽性所見はなかった。考えられるのはどれか。
選択肢
1 ハンター(Hunter)管症候群
2 脛骨疲労骨折
3 オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病
4 コンパートメント症候群
解答
正解2(脛骨疲労骨折)
解説

ジャンプ着地の反復、下腿前部中央に限局した腫脹と圧痛、そして発症早期でエックス線に所見が出ない——脛骨疲労骨折(跳躍型)の典型的な立ち上がりです。

疲労骨折は、一度で折れるほどではない力が同じ場所に繰り返し加わり、骨の修復が追いつかなくなって起こります。バレーボールのようにジャンプと着地を反復する競技では、脛骨の中央前方の皮質に張力が集中するため、この部位に生じる型を跳躍型と呼びます。一方、ランニング中心の競技で多いのは近位・遠位1/3の後内側に生じる疾走型です。診断上の要点は、発症から日が浅い時期には単純エックス線で骨膜反応や骨折線が写らないことが多く、陰性であっても否定できないことです。本例が「限局した腫脹と圧痛」を示している点は重要で、限局性こそが疲労骨折を疑う根拠になります。跳躍型は難治で偽関節に移行しやすいため、跳躍動作の中止と医師による継続的な評価(MRIなどの追加検査を含む)につなぐことが適切な対応です。

✓ 2. 正しい
脛骨疲労骨折
ジャンプ着地の反復という負荷、下腿前部中央という跳躍型の好発部位、限局した腫脹と圧痛、発症早期のエックス線陰性がすべて合致します。エックス線陰性でも否定せず、跳躍動作を中止させたうえで、追加検査と経過観察のため整形外科と連携を続けます。
✗ 1. 誤り
ハンター(Hunter)管症候群
内転筋管(ハンター管)で伏在神経が絞扼される病態で、大腿内側から下腿内側にかけての痛みやしびれが主体です。下腿前部中央に限局した腫脹と圧痛という所見とは異なります。
✗ 3. 誤り
オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病
成長期の脛骨粗面の骨端症で、圧痛と隆起は膝のすぐ下(脛骨粗面)に限局します。本例の圧痛部位は下腿前部の中央であり、部位が一致しません。
✗ 4. 誤り
コンパートメント症候群
急性型では激痛、区画の緊満、他動伸張時痛、感覚障害が前面に出ます。慢性(労作性)型では運動中に下腿全体が張って痛み、安静で軽快するのが特徴で、限局した圧痛や腫脹は乏しくなります。本例の限局性とは合いません。
ポイント
  • 疲労骨折は同じ部位への反復負荷で生じる。手がかりは「限局した圧痛と腫脹」。
  • 脛骨疲労骨折の跳躍型=脛骨中央前方。バレーボールやバスケットボールなど跳躍種目に多い。
  • 疾走型=脛骨近位・遠位1/3の後内側。ランニング中心の種目に多い。
  • 発症早期は単純エックス線で所見が出ないことが多く、陰性でも否定できない。
  • 跳躍型は難治で偽関節化しやすい。跳躍動作を中止し、整形外科と連携して追加検査と経過観察を継続する。
比較表
比較項目跳躍型疾走型
好発部位脛骨中央(前方皮質)脛骨近位・遠位1/3の後内側
多い競技バレーボール、バスケットボールなど跳躍種目陸上長距離などランニング種目
予後難治で偽関節化しやすい比較的良好
早期エックス線陰性のことが多い陰性のことが多い
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