学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ34P099

理由で解く 柔道整復師

QJ34P099 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問99
問題
鼠径部痛症候群で正しいのはどれか。
選択肢
1 初期から日常生活に支障がある。
2 大腿筋膜張筋に疼痛を訴える。
3 鼠径ヘルニアとの鑑別を要する。
4 観血療法が第一選択である。
解答
正解3(鼠径ヘルニアとの鑑別を要する。)
解説

鼠径部痛症候群は鼠径部に痛みを起こす多くの疾患と症状が重なるため、鼠径ヘルニアなどとの鑑別が欠かせません。よって3が正しい記述です。

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)は、サッカーなどキックやダッシュ、切り返しを繰り返す競技に多く、恥骨結合部、内転筋群(とくに長内転筋)の起始部、腸腰筋、腹直筋付着部などに痛みが出ます。単一の組織の障害ではなく、体幹と股関節の連動が崩れた結果として複数部位に痛みが生じる機能的な病態と捉えられています。同じ鼠径部の痛みでも、鼠径ヘルニアやスポーツヘルニア、股関節唇損傷、大腿骨寛骨臼インピンジメント、大腿骨頸部の疲労骨折、さらには泌尿器・婦人科疾患まで原因になり得るため、まず器質的疾患を除外する姿勢が重要です。治療は保存療法が基本で、痛みの出る動作を調整しながら体幹・骨盤・股関節の協調性を段階的に立て直します。

✓ 3. 正しい
鼠径ヘルニアとの鑑別を要する。
鼠径部の痛みは器質的疾患でも生じます。鼠径ヘルニア、スポーツヘルニア、股関節唇損傷、大腿骨頸部疲労骨折などとの鑑別が必要で、膨隆の有無や咳・怒責での増悪、安静時痛や夜間痛の有無を確認し、疑わしければ医師の診察を勧めます。
✗ 1. 誤り
初期から日常生活に支障がある。
初期はキックやダッシュ、切り返しといった特定のスポーツ動作でのみ痛み、日常生活では支障が乏しいのが典型です。進行して初めて起き上がりや歩行にも影響します。この段階差を知っておくと、早期に競技負荷を調整する助けになります。
✗ 2. 誤り
大腿筋膜張筋に疼痛を訴える。
疼痛の主座は恥骨結合部、内転筋群起始部、腸腰筋、腹直筋付着部など体幹と下肢をつなぐ内側〜前方の部位です。大腿筋膜張筋は大腿の外側にあり、本症の主な疼痛部位ではありません。
✗ 4. 誤り
観血療法が第一選択である。
第一選択は保存療法です。負荷の調整、内転筋・腸腰筋の柔軟性改善、体幹と股関節の協調性を高める運動療法を段階的に進めます。長期に保存療法を行っても改善しない例で初めて手術が検討されます。
ポイント
  • キック・ダッシュ・切り返しを繰り返す競技(とくにサッカー)に多い。
  • 疼痛部位は恥骨結合部、内転筋群起始部、腸腰筋、腹直筋付着部など。大腿外側ではない。
  • 初期はスポーツ動作時のみの痛み。日常生活への支障は進行してから。
  • 鼠径ヘルニア、スポーツヘルニア、股関節唇損傷、大腿骨頸部疲労骨折などとの鑑別が必須。
  • 第一選択は保存療法。負荷調整と体幹・股関節の協調性改善を段階的に進め、難治例は医師と連携する。
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