学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ34P088

理由で解く 柔道整復師

QJ34P088 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問88
問題
月状骨の脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 月状骨脱臼では橈骨と月状骨の位置関係は正常である。
2 月状骨周囲脱臼は手関節に屈曲力が作用して発生する。
3 月状骨脱臼の整復は前腕を回内させてから開始する。
4 月状骨脱臼と月状骨周囲脱臼の固定肢位は同じである。
解答
正解4(月状骨脱臼と月状骨周囲脱臼の固定肢位は同じである。)
解説

月状骨脱臼も月状骨周囲脱臼も、整復後は手関節軽度掌屈位で固定するという点で共通する。したがって4が正しい。

この2つは別々の外傷ではなく、手関節の背屈強制によって手根部の靱帯が段階的に破綻していく一連の流れの中の程度差である。まず月状骨を残して手根中央部が背側へずれるのが月状骨周囲脱臼で、この段階では月状骨と橈骨の位置関係は保たれる。さらに外力が加わり月状骨自身が掌側へ押し出されて橈骨との関係を失ったものが月状骨脱臼である。掌側へ転位した月状骨は手根管内で正中神経を圧迫しうるため、母指から環指橈側にかけてのしびれと母指球の筋力を必ず確認する。整復は前腕回外位で牽引しながら行い、整復後は月状骨が再び掌側へ逃げないよう手関節軽度掌屈位で固定し、経過に応じて中間位へ移す。

✓ 4. 正しい
月状骨脱臼と月状骨周囲脱臼の固定肢位は同じである。
どちらも整復後は手関節軽度掌屈位で固定し、その後に中間位へ移行する。破綻している靱帯系が共通で、再転位を防ぐために必要な方向も同じだからである。
✗ 1. 誤り
月状骨脱臼では橈骨と月状骨の位置関係は正常である。
逆である。月状骨脱臼は月状骨そのものが掌側へ飛び出すため、橈骨との位置関係が破綻する。橈骨と月状骨の関係が保たれるのは月状骨周囲脱臼のほうで、この点が両者を分ける最大の目印になる。
✗ 2. 誤り
月状骨周囲脱臼は手関節に屈曲力が作用して発生する。
転倒して手をついた際の手関節背屈(伸展)強制で発生する。屈曲力ではない。月状骨脱臼も同じ機転で起こり、外力がさらに加わった段階のものである。
✗ 3. 誤り
月状骨脱臼の整復は前腕を回内させてから開始する。
前腕回外位で末梢牽引を加えて開始する。牽引下に手関節を背屈させ、掌側に転位した月状骨を母指で押し戻しながら掌屈させて整復する。回内位ではない。
ポイント
  • 発生機転はどちらも手関節の背屈(伸展)強制。転倒して手をつく場面で起こる
  • 月状骨脱臼=月状骨のみが掌側へ転位し橈骨との関係が破綻。月状骨周囲脱臼=月状骨は橈骨と正常位のまま、他の手根骨が背側へ転位
  • 掌側転位した月状骨は手根管内で正中神経を圧迫しうる。しびれと母指球筋力を毎回確認する
  • 整復は前腕回外位・牽引下に。固定は両者とも手関節軽度掌屈位から中間位へ
  • 徒手整復が困難な例、神経症状が続く例は速やかに医療機関へ紹介する
比較表
項目月状骨脱臼月状骨周囲脱臼
転位するもの月状骨が掌側へ月状骨以外の手根骨が背側へ
橈骨と月状骨の関係破綻する保たれる
発生機転手関節背屈強制手関節背屈強制
正中神経症状生じやすい比較的少ない
整復後の固定肢位手関節軽度掌屈位手関節軽度掌屈位(同じ)
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