学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ34P082

理由で解く 柔道整復師

QJ34P082 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問82
問題
膝蓋骨骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 固定範囲は大腿遠位部から下腿近位部である。
2 転位が軽度なら固定期間は2週である。
3 介達外力で縦骨折が生じる。
4 線維性癒合になりやすい。
解答
正解4(線維性癒合になりやすい。)
解説

膝蓋骨骨折は線維性癒合になりやすい。関節内骨折で骨折面が関節液にさらされ、さらに大腿四頭筋の牽引で骨片が離開し続けるためである。

膝蓋骨は膝関節の中にあり、骨折面は常に滑液に接している。滑液は骨折血腫の形成と器質化を妨げるため、骨性の仮骨が作られにくい。加えて、上方の骨片には大腿四頭筋腱が、下方の骨片には膝蓋靱帯が付いており、大腿四頭筋が働くたびに骨片は上下へ引き離される。この二つが重なるため、骨性癒合に至らず線維性の癒合や偽関節に終わりやすい。したがって固定は、大腿四頭筋の緊張を可能なかぎり除く目的で、膝をほぼ伸展位に保ち、大腿近位部から下腿遠位部までを含む広い範囲で行い、期間も 4 週前後を要する。骨折線の向きも機転で決まり、膝を強打する直達外力では縦骨折・粉砕骨折・星状骨折が、膝屈曲位での大腿四頭筋の急激な収縮という介達外力では横骨折が生じる。固定中も大腿四頭筋の等尺性収縮を指導し、抜去後の膝伸展力低下を最小限にする。

✓ 4. 正しい
線維性癒合になりやすい。
関節内骨折で骨折面が滑液にさらされ血腫が形成されにくいうえ、大腿四頭筋の牽引で骨片が離開し続けるため、骨性癒合に至りにくい。
✗ 1. 誤り
固定範囲は大腿遠位部から下腿近位部である。
この範囲では大腿四頭筋の牽引を抑えられない。大腿近位部から下腿遠位部までを含む広い範囲を、膝伸展位で固定する。
✗ 2. 誤り
転位が軽度なら固定期間は2週である。
癒合が遅れやすい骨折であり、2 週では足りない。おおむね 4 週前後を要し、経過をみながら段階的に可動域訓練へ移行する。
✗ 3. 誤り
介達外力で縦骨折が生じる。
逆である。縦骨折・粉砕骨折は膝を強打する直達外力で、横骨折は大腿四頭筋の急激な収縮という介達外力で生じる。
ポイント
  • 膝蓋骨骨折は関節内骨折。滑液が血腫形成を妨げ、大腿四頭筋が骨片を引き離すため線維性癒合・偽関節になりやすい。
  • 固定は膝伸展位で、大腿近位部から下腿遠位部までの広範囲。四頭筋の緊張を抜くことが目的。
  • 固定期間はおおむね 4 週前後。2 週は短すぎる。
  • 直達外力(膝の強打)→ 縦骨折・粉砕骨折・星状骨折。介達外力(四頭筋の急激収縮)→ 横骨折。
  • 固定中から大腿四頭筋の等尺性収縮を指導し、伸展力低下と膝の拘縮を防ぐ。
比較表
外力具体的な状況生じる骨折型転位
直達外力膝を床や物に強打する縦骨折・粉砕骨折・星状骨折比較的少ない
介達外力膝屈曲位で大腿四頭筋が急激に収縮横骨折上下骨片が離開しやすい
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