学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §10 疾患別各論 非感染性軟部・骨関節疾患 / QJ34P060

理由で解く 柔道整復師

QJ34P060 整形外科学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問60
問題
骨粗鬆症で誤っているのはどれか。
選択肢
1 橈骨骨幹部骨折は骨脆弱性骨折である。
2 治療薬としてビタミンKがある。
3 骨萎縮度は腰椎エックス線側面像で判定する。
4 治療上重要なのは生活指導である。
解答
正解1(橈骨骨幹部骨折は骨脆弱性骨折である。)
解説

この設問は「誤っているのはどれか」を問う否定形なので、答えは誤った記述である 1 になる。橈骨の脆弱性骨折は海綿骨に富む遠位端に起こるものであり、皮質骨の厚い骨幹部は該当しない。

骨粗鬆症では骨量が減り骨質が劣化するが、影響を最も強く受けるのは骨梁(海綿骨)が多く代謝回転の速い部位である。そのため脆弱性骨折は椎体(胸腰椎移行部)と大腿骨近位部に最も多く、次いで橈骨遠位端・上腕骨近位端・肋骨・骨盤にみられる。橈骨でいえば折れるのは遠位端(Colles 骨折)であって、緻密な皮質骨でできた骨幹部ではない。橈骨骨幹部が折れるときは、通常それなりの直達外力が加わっている。脆弱性骨折とは「立った高さからの転倒程度の軽微な外力で生じる骨折」を指す用語であることも合わせて押さえたい。なお、原発性骨粗鬆症の診断基準は下腿骨も脆弱性骨折の部位に挙げており、ビスホスホネートの長期投与例では大腿骨骨幹部の非定型骨折も知られる。したがって「骨幹部はおよそ脆弱性骨折ではない」と一般化するのではなく、橈骨では遠位端が該当部位で骨幹部は該当しないと部位ごとに押さえるのが正確である。

✓ 1. これが答え(誤っている記述)
橈骨骨幹部骨折は骨脆弱性骨折である。
橈骨の脆弱性骨折は遠位端に起こる。橈骨骨幹部は皮質骨が主体で骨粗鬆症の影響を受けにくく、折れるには強い外力を要するため、脆弱性骨折には数えない。「転んで手をついて橈骨遠位端」「尻もちで椎体」「転倒で大腿骨近位部」という組み合わせで整理しておくとよい。骨幹部骨折をみたときは外力の大きさが骨折に見合っているかを確認し、見合わないなら転移性骨腫瘍などによる病的骨折を疑って医師の精査につなぐ。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
治療薬としてビタミンKがある。
ビタミンK2(メナテトレノン)は骨基質タンパクであるオステオカルシンのγ-カルボキシル化を助け、骨質の改善に働く薬剤として用いられる。骨粗鬆症の薬物療法には他にビスホスホネート、活性型ビタミンD3、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、副甲状腺ホルモン薬、抗RANKL抗体などがある。正しい記述なので答えにはならない。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
骨萎縮度は腰椎エックス線側面像で判定する。
腰椎側面像では、椎体内の縦(垂直)骨梁と横(水平)骨梁の見え方から骨萎縮の程度を段階的に評価できる。骨粗鬆症が進むと荷重方向である縦骨梁が残り横骨梁が先に消えるため、縦縞が目立つ像になる。同時に椎体骨折の有無も確認できる点で有用な検査であり、正しい記述である。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
治療上重要なのは生活指導である。
骨粗鬆症治療は薬物だけで完結しない。カルシウム・ビタミンD・タンパク質を含む食事、荷重のかかる運動と日光浴、禁煙・節酒、そして転倒予防(段差や照明など住環境の整備、下肢筋力とバランスの訓練)を組み合わせることで初めて骨折を減らせる。柔道整復師が日常的に関与できる領域でもあり、正しい記述である。
ポイント
  • 脆弱性骨折=軽微な外力(立位程度の高さからの転倒など)で生じる骨折。
  • 二大部位は椎体と大腿骨近位部。ほかに橈骨遠位端・上腕骨近位端・肋骨・骨盤も診断基準に挙げられる。
  • 橈骨では骨幹部ではなく遠位端が脆弱性骨折の部位。海綿骨に富むかどうかが分かれ目。
  • 薬物療法はビスホスホネート、活性型ビタミンD3、ビタミンK2、SERM、副甲状腺ホルモン薬、抗RANKL抗体など。
  • 食事・運動・日光浴・禁煙節酒に加え、転倒予防の生活指導が骨折予防の要。
比較表
部位骨折の呼び名・受傷機転骨の性質脆弱性骨折か
椎体(胸腰椎移行部)椎体圧迫骨折/尻もち・いつのまにか骨折海綿骨主体該当する(最多)
大腿骨近位部頸部骨折・転子部骨折/側方への転倒海綿骨主体該当する
橈骨遠位端Colles骨折/手をついて転倒海綿骨主体該当する
上腕骨近位端外科頸骨折/肩から転倒海綿骨主体該当する
肋骨・骨盤咳や軽微な打撲・転倒海綿骨に富む該当する
橈骨骨幹部直達外力などの強い外力で受傷皮質骨主体該当しない
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