学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §16 脳卒中(救急法) / QJ34P055

理由で解く 柔道整復師

QJ34P055 外科学概論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問55
問題
脳梗塞で正しいのはどれか。
選択肢
1 20~30%で一過性脳虚血が先行する。
2 アテローム血栓性脳梗塞は心房細動を合併する。
3 心原性脳梗塞は階段状に進行する。
4 ラクナ梗塞は意識障害を伴う。
解答
正解1(20~30%で一過性脳虚血が先行する。)
解説

脳梗塞のおよそ20〜30%では一過性脳虚血発作(TIA)が先行する。TIAは「これから脳梗塞が来る」という警告のサインである。

TIAは片麻痺・構音障害・一過性黒内障などの局所神経症状が突然現れ、多くは数分〜1時間以内、遅くとも24時間以内に完全に消失する発作で、とくにアテローム血栓性脳梗塞に先行しやすい。症状が消えても危険は去っておらず、発症後48時間以内から数日間の脳梗塞発症リスクが最も高いため、消えたからと様子をみるのではなく、その日のうちに受診して抗血栓療法と危険因子(高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動)の管理を始めることが最大の予防になる。脳梗塞の臨床病型は三つで、アテローム血栓性は主幹動脈の粥状硬化を背景に階段状・進行性に悪化し、心原性脳塞栓症は心房細動などの心内血栓が飛んで突発完成型に大きな梗塞をつくり、ラクナ梗塞は高血圧を背景とする穿通枝の小梗塞で意識は保たれる。

✓ 1. 正しい
20~30%で一過性脳虚血が先行する。
脳梗塞の20〜30%程度でTIAが先行するとされ、とくにアテローム血栓性で多い。TIAを見逃さず早期に治療を始めれば、後の脳梗塞を防げる可能性がある。
✗ 2. 誤り
アテローム血栓性脳梗塞は心房細動を合併する。
心房細動を背景にするのは心原性脳塞栓症である。アテローム血栓性の背景は高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙による主幹動脈の粥状硬化。
✗ 3. 誤り
心原性脳梗塞は階段状に進行する。
階段状・進行性に悪化するのはアテローム血栓性の特徴。心原性脳塞栓症は血栓が突然詰まるため、発症時に症状が最も強い突発完成型をとり、出血性梗塞も起こしやすい。
✗ 4. 誤り
ラクナ梗塞は意識障害を伴う。
ラクナ梗塞は穿通枝領域にできる直径1.5cm未満の小梗塞で、意識は清明に保たれるのが原則。失語や半側空間無視といった皮質症状も伴わず、純粋運動性片麻痺などの形で現れる。
ポイント
  • 脳梗塞の20〜30%でTIAが先行する。TIAは症状が24時間以内(多くは1時間以内)に完全消失する。
  • 症状が消えても直後の脳梗塞リスクが高い。その日のうちに受診し、抗血栓療法と危険因子管理を始める。
  • 心房細動=心原性脳塞栓症。突発完成型で梗塞が大きく、意識障害や出血性梗塞を伴いやすい。
  • アテローム血栓性は動脈硬化が背景で、階段状・進行性に悪化する。TIAの先行が多い。
  • ラクナ梗塞は穿通枝の小梗塞。高血圧が主因で、意識は清明、皮質症状は伴わない。
比較表
アテローム血栓性脳梗塞心原性脳塞栓症ラクナ梗塞
原因主幹動脈の粥状硬化心内血栓(心房細動など)穿通枝の閉塞(高血圧)
発症様式階段状・進行性、安静時や睡眠中に多い突発完成型、日中の活動時比較的軽症で緩徐なことが多い
梗塞巣中〜大大きい、出血性梗塞を伴いやすい直径1.5cm未満
意識障害範囲による伴いやすい通常伴わない
TIAの先行多い少ない少ない
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