学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §13 頭部・顔面部外傷(救急法) / QJ34P054

理由で解く 柔道整復師

QJ34P054 外科学概論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問54
問題
アルコール多飲者に多い頭蓋内出血はどれか。
選択肢
1 急性硬膜下血腫
2 急性硬膜外血腫
3 慢性硬膜下血腫
4 外傷性脳内出血
解答
正解3(慢性硬膜下血腫)
解説

アルコール多飲者に多いのは慢性硬膜下血腫である。脳萎縮に加え、転倒など軽微な頭部外傷を繰り返すこと、肝障害による凝固能低下が重なって起こりやすい。

慢性硬膜下血腫は、軽微な頭部外傷から約3週間〜数か月かけて硬膜下に被膜をもつ血腫が緩徐に増大する病態で、高齢者・男性・アルコール多飲者・抗凝固薬使用者に多い。脳が萎縮していると硬膜と脳表を結ぶ架橋静脈が引き伸ばされてわずかな衝撃でも切れやすく、さらに脳と頭蓋の間に余裕があるため、血腫が溜まっても症状が出るまで時間がかかる。症状は頭痛、意欲低下、認知症様症状、片麻痺、歩行障害で、認知症や脳血管障害と間違われやすいが、穿頭血腫ドレナージで著明に改善する「治せる認知症」として重要である。本人が外傷を覚えていないことも多いので、数週間単位でのもの忘れや歩行の変化に気づいたら、家族から経過を聞き取り、速やかに医療機関の画像検査につなげる。

✓ 3. 正しい
慢性硬膜下血腫
アルコール多飲では脳萎縮が進んで架橋静脈が伸展し切れやすく、酩酊による転倒で軽微な頭部外傷を繰り返す。肝障害があれば凝固因子も減り、緩徐な出血が止まりにくい。
✗ 1. 誤り
急性硬膜下血腫
交通外傷や転落などの強い外力で架橋静脈が断裂し、脳挫傷を伴って受傷直後から急速に意識障害が進む。飲酒歴よりも外力の大きさが背景となる。
✗ 2. 誤り
急性硬膜外血腫
側頭骨骨折に伴う中硬膜動脈の損傷が典型で、比較的若い人に多い。受傷直後の一時的な意識回復(意識清明期)の後に急速に悪化するのが特徴。
✗ 4. 誤り
外傷性脳内出血
強い外力による脳挫傷に伴って脳実質内に生じる急性の出血で、受傷直後から神経症状が現れる。慢性に経過するものではない。
ポイント
  • 慢性硬膜下血腫の危険因子は、高齢・男性・アルコール多飲・抗凝固薬・軽微な頭部外傷の反復。
  • アルコール多飲で起こりやすい理由は、脳萎縮による架橋静脈の伸展、転倒の反復、肝障害による凝固能低下の三つ。
  • 受傷から3週間〜数か月後に、頭痛・認知症様症状・片麻痺・歩行障害として現れる。
  • 穿頭血腫ドレナージで劇的に改善する。認知症と決めつけず、経過を確かめて画像検査につなげる。
  • 急性の血腫(硬膜外・硬膜下・脳内)は受傷直後から症状が出る。時間経過が鑑別の最大の手がかり。
比較表
急性硬膜外血腫急性硬膜下血腫慢性硬膜下血腫
主な出血源中硬膜動脈(側頭骨骨折を伴う)架橋静脈の断裂、脳挫傷架橋静脈からの緩徐な出血
経過受傷後数時間、意識清明期あり受傷直後から意識障害3週間〜数か月かけて緩徐に進行
CT所見凸レンズ型三日月型三日月型(被膜を伴う)
背景比較的若年、側頭部打撲強い外力高齢、アルコール多飲、抗凝固薬、軽微な外傷
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