学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §13 頭部・顔面部外傷(救急法) / QJ27P052

理由で解く 柔道整復師

QJ27P052 外科学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問52
問題
頭部外傷と症状の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 脳しんとう-セカンドインパクトシンドローム
2 頭蓋底骨折-髄液鼻漏
3 急性硬膜下血腫意識障害
4 慢性硬膜下血腫激しい頭痛
解答
正解4(慢性硬膜下血腫激しい頭痛)
解説

慢性硬膜下血腫は数週間かけてゆっくり進むため、症状は軽い頭痛・頭重感と認知症のような変化や片麻痺。「激しい頭痛」は特徴ではなく、選択肢4が誤り。

頭部外傷は「症状が出るまでの時間経過」で整理すると混乱しない。急性硬膜下血腫は脳挫傷を伴うことが多く、受傷直後から意識障害が続く。急性硬膜外血腫は動脈性の出血が硬膜を剥がしながら溜まるため、一度意識が戻る意識清明期をはさむことがある。これに対し慢性硬膜下血腫は、軽い頭部外傷から3週〜数か月かけて、被膜をもつ血腫が硬膜下で少しずつ大きくなるもので、高齢者やアルコールを多く飲む人に多い。脳がゆっくり押されるので、突然の激痛ではなく、なんとなくの頭重感、物忘れ、意欲の低下、片麻痺、歩行のふらつき、尿失禁といった形で現れる。

✓ 4. 誤り(これが答え)
慢性硬膜下血腫激しい頭痛
突然の激しい頭痛は、くも膜下出血に代表される急性の頭蓋内出血の特徴であって、慢性硬膜下血腫の像ではない。慢性硬膜下血腫では、持続する軽度の頭痛・頭重感に、認知症と紛らわしい症状や片麻痺、歩行障害が加わる形が典型。柔道整復の現場では、高齢者が頭部を打った数週間後に物忘れや歩行のふらつきを見せたら、加齢や認知症と決めつけず、受傷歴を伝えたうえで速やかに医療機関の画像検査につなぐ。穿頭血腫洗浄術で劇的に改善しうる、治せる病態である。
✗ 1. 正しい(答えではない)
脳しんとう-セカンドインパクトシンドローム
脳振盪から回復しきらないうちに再び頭部へ衝撃を受けると、脳血流の自動調節が破綻して急激な脳腫脹をきたす。これがセカンドインパクトシンドロームで、致命的になりうる。競技復帰は症状が完全に消えてから段階的に進め、症状があるうちは練習にも戻さない。
✗ 2. 正しい(答えではない)
頭蓋底骨折-髄液鼻漏
前頭蓋底が折れて硬膜が破れると、髄液が篩骨洞を通って鼻腔へ漏れる(髄液鼻漏)。両眼周囲の皮下出血(ブラックアイ、パンダの目徴候)を伴うことが多い。中頭蓋底では髄液耳漏と耳介後部の皮下出血(バトル徴候)がみられる。細菌が頭蓋内へ逆行して髄膜炎を起こしうるため、鼻をかませない、鼻腔に詰め物をしないといった配慮をしたうえで搬送する。
✗ 3. 正しい(答えではない)
急性硬膜下血腫意識障害
架橋静脈や脳表の損傷による出血で、脳挫傷を合併することが多い。受傷直後から意識障害が続き、進行すると瞳孔不同や片麻痺(脳ヘルニアの徴候)が現れる。頭部外傷の中でも予後は不良で、緊急の開頭血腫除去を要する。
ポイント
  • 慢性硬膜下血腫は受傷後3週〜数か月で発症。軽い頭痛・頭重感、認知症様症状、片麻痺、歩行障害、尿失禁が典型で、「激しい頭痛」ではない。
  • 突然の激しい頭痛はくも膜下出血をはじめとする急性の頭蓋内出血の特徴。
  • 急性硬膜下血腫は脳挫傷を伴い、受傷直後から意識障害が続く。予後は不良。
  • 頭蓋底骨折では髄液鼻漏・耳漏、ブラックアイ、バトル徴候。鼻をかませず髄膜炎を防ぐ配慮をして搬送する。
  • 脳振盪後の早期復帰はセカンドインパクトシンドロームの危険。症状が完全に消えてから段階的に戻す。
比較表
急性硬膜外血腫急性硬膜下血腫慢性硬膜下血腫
出血源中硬膜動脈など(動脈性)架橋静脈・脳表の損傷架橋静脈からの緩徐な出血
発症までの時間受傷直後〜数時間受傷直後受傷後3週〜数か月
意識意識清明期をはさむことがある直後から障害が続く徐々に鈍くなる
主な症状意識障害の進行、瞳孔不同意識障害、片麻痺、脳ヘルニア軽い頭痛・頭重感、認知症様症状、片麻痺、歩行障害
背景若年、側頭部の打撲高エネルギー外傷高齢者、アルコール多飲、軽微な外傷
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