学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ34P045
理由で解く 柔道整復師
夕方になると瞼が開けにくい、疲れると複視が出る、噛み続けると顎が動かなくなるが休むと戻る。使うほど悪化して休むと回復するという易疲労性と日内変動は、神経筋接合部の伝達障害である重症筋無力症の典型像である。
運動神経終末から放出されたアセチルコリンが筋側終板のニコチン性アセチルコリン受容体に結合することで筋は収縮する。重症筋無力症ではこの受容体に対する自己抗体(抗AChR抗体、一部は抗MuSK抗体)によって受容体が減り、終板電位が下がって伝達の余力が失われる。神経終末からのアセチルコリン放出量はもともと連続刺激でしだいに減るため、健常なら問題にならないその生理的な目減りが、余力を失った本症では閾値割れを起こす。こうして「反復使用で筋力が落ち、休息で回復する」という波が生まれる。外眼筋と眼瞼挙筋は小さく余力に乏しいため眼瞼下垂と複視が初発症状になりやすく、咀嚼筋・嚥下筋・構音筋に及ぶと本例のように食事が続けられなくなる。診断は反復神経刺激試験の漸減現象(waning)、抗体検査、アイスパック試験などで進め、胸腺腫の合併を胸部CTで検索する。息苦しさやむせを訴える場合は呼吸筋・嚥下筋障害(クリーゼ)の危険があるため、施術は中止して直ちに医療機関につなぐ。
| 所見 | どこの障害で陽性になるか | 本例(重症筋無力症) |
|---|---|---|
| 反復運動での症状増悪 | 神経筋接合部(伝達の余力低下) | 該当する(正答) |
| 振戦 | 錐体外路・小脳、本態性、甲状腺機能亢進症 | みられない |
| ロンベルグ徴候 | 脊髄後索(深部感覚)・前庭 | 陰性(感覚は保たれる) |
| バビンスキー反射 | 錐体路(上位運動ニューロン) | 陰性(錐体路は侵されない) |
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