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理由で解く 柔道整復師

QJ34P028 一般臨床医学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問28
問題
脛骨神経麻痺でみられる変形はどれか。
選択肢
1 踵足
2 尖足
3 外反足
4 内反足
解答
正解1(踵足)
解説

脛骨神経は下腿後面の底屈筋群を支配する。麻痺すると足関節を底屈できず、拮抗する背屈筋が優位となって足が背屈位に固定される踵足(しょうそく)になる。

脛骨神経は坐骨神経から分かれて膝窩を通り、ヒラメ筋腱弓の下から下腿後面に入って下腿三頭筋・後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋を支配し、内果の後ろの足根管を通って足底の内在筋と足底の皮膚感覚を担う。麻痺するとまず足関節の底屈と足趾の屈曲ができなくなり、つま先立ちが不能となって、歩行では踵で接地したまま蹴り出せない。後脛骨筋も麻痺するので内がえしは弱くなるが、内がえしには深腓骨神経支配の前脛骨筋も働くため完全に失われるわけではなく筋力低下にとどまる。一方で背屈筋群は保たれて相対的に優位となり、足は背屈位へ引かれる。これが踵足である。なお足底の内在筋(虫様筋・骨間筋)も麻痺するため鉤爪趾(claw toe)を伴うことがあるが、これは踵足の別名ではなく、足趾に併存して現れる別の変形である。足底の感覚も鈍るため靴ずれ・胼胝・潰瘍に気づきにくく、足底と履物を毎日点検すること、必要なら装具について主治医に相談することを患者に具体的に伝えたい。対比として総腓骨神経麻痺では背屈ができずに尖足(下垂足)となり鶏歩を呈する。「底屈できない=踵足」「背屈できない=尖足」と、失われた動きの反対側が勝つと考えると取り違えにくい。

✓ 1. 正しい
踵足
下腿三頭筋をはじめとする底屈筋が麻痺し、背屈筋が優位となって足が背屈位に保たれる変形。踵で接地したままとなり、つま先立ちや歩行時の蹴り出しができない。
✗ 2. 誤り
尖足
足関節が底屈位に固定される変形で、背屈筋が働かなくなる総腓骨神経麻痺(下垂足・鶏歩)や、長期臥床で足関節が底屈位のまま拘縮した場合にみられる。脛骨神経麻痺とは変形の向きがちょうど正反対である。
✗ 3. 誤り
外反足
踵が外方へ傾く前額面(内がえし−外がえし)の変形で、扁平足や後脛骨筋腱機能不全のときに問われる。脛骨神経麻痺でも後脛骨筋が麻痺して内がえしが弱まるため外反方向へ傾く要素は生じうるが、この麻痺で起こる変形の本体は矢状面(底屈−背屈)で足が背屈位に固定される踵足であり、変形名として答えるべきは踵足である。
✗ 4. 誤り
内反足
踵が内方へ傾く変形で、先天性内反足のほか、総腓骨神経麻痺で腓骨筋群(外がえし)が麻痺したときに内反尖足として現れる。脛骨神経麻痺で生じる変形ではない。
ポイント
  • 脛骨神経麻痺=足関節の底屈と足趾屈曲ができない → 踵足(しょうそく)。つま先立ち不能、蹴り出し不能。
  • 足底の内在筋も麻痺するため鉤爪趾(claw toe)を合併しうるが、これは踵足の別名ではなく併存する足趾の変形。凹足に伴う鉤爪趾とも区別する。
  • 内がえしは後脛骨筋の麻痺で弱くなるが、前脛骨筋(深腓骨神経支配)も内がえしに働くため完全には失われない。
  • 総腓骨神経麻痺=背屈と外がえしができない → 尖足(下垂足)、鶏歩、下腿外側〜足背の感覚障害。
  • 変形名は「働かなくなった筋の反対側が勝つ」と考えれば暗記に頼らず導ける。
  • 脛骨神経は足底感覚も担うので、麻痺では足底の外傷・潰瘍に気づきにくい。足底と履物の毎日の点検、装具の相談を勧める。足根管症候群は屈筋支帯下での絞扼で足底のしびれ・疼痛を生じる。
比較表
障害される神経できなくなる動き生じる変形・歩行感覚障害の部位
脛骨神経足関節の底屈、足趾の屈曲(内がえしは低下)踵足(つま先立ち不能)、鉤爪趾を伴うことがある足底
総腓骨神経(深枝+浅枝)足関節の背屈、足の外がえし尖足(下垂足)、鶏歩下腿外側〜足背
深腓骨神経足関節・足趾の背屈下垂足第1・2趾間背側
浅腓骨神経足の外がえし内反傾向下腿外側〜足背
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