学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ34P020

理由で解く 柔道整復師

QJ34P020 リハビリテーション医学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問20
問題
杖の長さの調節で正しいのはどれか。
選択肢
1 肘関節は 75度程度の屈曲位
2 グリップは大腿骨大転子の高さ
3 杖先は足尖部から15cm後方に位置
4 杖先は足尖部から50cm外側に位置
解答
正解2(グリップは大腿骨大転子の高さ)
解説

T字杖の長さ合わせの基準は「グリップが大腿骨大転子の高さ」である。この高さに合わせると肘は自然に20〜30度の屈曲位となり、杖先は足尖部の前外側それぞれ約15cmに置く。

杖の長さは、体重を杖にかけたときに肘を伸ばす余力を残せるかで決まる。立位で腕を体側に下ろした姿勢をとり、グリップの高さを大腿骨大転子(尺骨茎状突起や手関節横紋の高さともほぼ一致する)に合わせるのが標準で、身長からの概算では「身長÷2+2〜3cm」が目安になる。この設定では肘関節が20〜30度の軽度屈曲位となり、平地では肘の伸展でしっかり支持し、段差や不整地では必要に応じてさらに肘を伸ばして高さを稼げる。杖先は足尖部の前方約15cm・外側約15cmに接地させ、両足と杖先で三角形の広い支持基底面をつくることで側方・前方への安定性が高まる。長すぎると肩が挙がって脇が開き、体幹が杖から離れて支えにくくなる。短すぎると体幹が前傾して重心が前へ偏り、いずれも転倒リスクを高める。杖は原則として患側と反対側(健側)の手で持ち、三動作歩行(杖→患側→健側)から二動作歩行へと進めていく。長さ調節は歩行練習の前提であり、履物を替えたときや身体状況が変わったときには再確認する。

✓ 2. 正しい
グリップは大腿骨大転子の高さ
立位で腕を下ろしたとき、グリップが大腿骨大転子(=尺骨茎状突起・手関節横紋の高さにほぼ一致)にくるよう合わせるのが標準的な調節法である。この高さであれば肘が軽度屈曲位となり、支持と余力の両方が確保できる。
✗ 1. 誤り
肘関節は 75度程度の屈曲位
適切な肘関節の角度は約20〜30度の屈曲位である。75度も曲がるのはグリップ位置が高すぎる(杖が長すぎる)状態で、肩が挙上して脇が開き、体重を支える力が伝わりにくく安定性を欠く。長すぎる場合は大転子の高さを基準に短く調節し直す。
✗ 3. 誤り
杖先は足尖部から15cm後方に位置
15cmという数値は正しいが、方向が逆である。杖先は足尖部の前方約15cmに接地させ、進行方向側に支持点をつくる。後方に置くと支持基底面が体幹の重心より後ろに偏り、前方へ踏み出すときに支えとして働かない。
✗ 4. 誤り
杖先は足尖部から50cm外側に位置
外側に置くという方向は正しいが、距離は約15cmである。50cmも離すと体幹が杖側へ大きく傾き、腕を伸ばしきった不安定な姿勢になって体重を有効に載せられない。前方15cm・外側15cmを一組で覚えておく。
ポイント
  • グリップの高さ=大腿骨大転子(尺骨茎状突起・手関節横紋の高さとほぼ一致)。概算は身長÷2+2〜3cm
  • そのとき肘関節は20〜30度の軽度屈曲位。伸ばす余力を残すのが目的。
  • 杖先の接地は足尖部の前方約15cm・外側約15cm。両足と合わせて三角形の支持基底面をつくる。
  • 長すぎる→肩が挙上し脇が開いて支持力が落ちる。短すぎる→体幹が前傾して重心が前へ偏る。どちらも転倒リスクを高める。
  • 杖は患側と反対(健側)の手で持ち、三動作歩行(杖→患側→健側)から二動作歩行へ段階を進める。
  • 履物の変更や身体状況の変化があったときは、その都度長さを再調整する。
比較表
調節項目適切な設定本問の選択肢との対応
グリップの高さ大腿骨大転子の高さ(尺骨茎状突起・手関節横紋とほぼ一致/身長÷2+2〜3cm)2:基準どおりで正しい
肘関節の角度約20〜30度の屈曲位1:75度は曲げすぎ=杖が長すぎる状態
杖先の前後位置足尖部の前方約15cm3:距離は合うが「後方」で方向が逆
杖先の左右位置足尖部の外側約15cm4:方向は合うが50cmは離れすぎ
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